Codex「28日間の改善」総まとめ——改善16回・リセット13回、毎日何が変わった?仕事に役立つ改善を一覧で振り返る

コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏が、日本時間10月5日の早朝にXで打ち出した「これから28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束が、日本時間11月2日朝の「Day 28/ Banked 2/2」という投稿で完走しました。

28日間の結果は、改善16回、リセット13回(AI JAPAN PROJECTのシリーズでの数え方)です。新しいAIモデルや速さの向上、スマホでできることの拡大、利用枠そのものの引き上げなど、ふだんの仕事に関わる変化がいくつも出ました。一方で、後半はリセットの日が増え、最後の2日間は「貯めておけるリセット」で締めくくられています。

AI JAPAN PROJECTでは、宣言の日から28日目まで、毎日1本ずつこのシリーズを追いかけてきました。この記事はその総まとめです。28日間に何が出たのかを一覧表で振り返り、エンジニアでない方にも役立つ改善をテーマ別に整理します。宣言そのものの詳しい中身は「「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事」で紹介しています。

すべての始まりとなったX投稿

宣言は、ソティオ氏の個人アカウント(@thsottiaux)から投稿されました。「これから28日間、毎日、Codex/Workの大半の利用者に関係する明確な改善をひとつ出すか、フルリセットを出すかのどちらかを行う。改善を始めよう」という内容です。

ポイントは「どちらか一方」という約束だったことです。基本は改善を出し、出せなかった日の“埋め合わせ”として、使える量を満タンに戻すフルリセットを行う、という仕組みでした。飲食店でたとえるなら、「28日間、毎日ひとつ常連さん全員が気づく新メニューか改良を出す。出せなかった日はお会計をサービスする」と店長が貼り紙をしたような約束です。

28日間の結果は改善16回、リセット13回

まずは全体の成績です。改善とリセットを足すと29回になり、28日より1回多くなります。これは2日目が「改善」と「リセット」の両方にあたる日だったためです。2日目は4つの改善が出たあと、ソティオ氏がXで利用者に「今日の出来」を投票で問い、約76%が「リセットが必要」を選んだことで、改善はそのまま残したうえでフルリセットも行われました。

項目28日間の結果
明確な改善の日16回(1・2・3・4・5・7・9・11・12・14・16・19・22・24・25・26日目)
リセットの日13回(全員向けの一斉リセットが2・6・8・10・13・15・17・18・20・21・23日目の11回、貯めておける型が27・28日目の2回)
改善とリセットの両方2日目(4つの改善のあと、利用者投票でフルリセットも実施)

数え方で迷いやすい日が、ほかに2つあります。3日目は、GPT-6の導入という改善に加えて、有料プランに「貯めておけるリセット」が1回分配られました。ただ、これは利用者数が過去最高になったことのお祝いとしての上乗せで、その日の答えは改善だったため、リセットの回数には数えていません。15日目は、公式番組「COOKED」の紹介で始まりましたが、同じ日の午後にソティオ氏が「やっぱりまだ仕込み中」と書いてフルリセットに切り替えたため、リセットの日として数えています。

リセット13回のうち、11回は全員の利用枠をOpenAI側がその場で一斉に満タンに戻す型でした。最後の27日目と28日目の2回は、各自のアカウントに「満タンに戻す権利」を入れておき、好きなときに自分で使う「貯めておける型」です。

28日間の一覧表

1日目から28日目まで、毎日の中身を1行ずつまとめました。「記事」の列から、その日の詳しい解説記事に移動できます。

日種類内容記事
1日目改善GPT-6 AstraとGPT-6.1 Solの標準の速さが約50%向上。設定の変更は不要記事
2日目改善+リセット見張り役AI「Auto-review」が利用枠を使わずに使えるように。API利用枠の簡素化、会議メモ「Meetings」、判断用の「Decisions API」も公開。そのうえで利用者投票(約76%)を受けて全員向けのフルリセットも実施記事1・記事2
3日目改善ChatGPTのふだんのチャットにGPT-6。答えを図や表、ボタンなどの“画面”で返す「Intelligent UI」も登場。有料プランには貯めておけるリセットが1回分配られた(お祝いの上乗せで、リセットの回数には数えていません)記事
4日目改善作業途中に出した指示がすぐ効く「即時ステアリング」と、GPT-6.1 Solを最大8倍速で動かす「Ultrafast」記事
5日目改善デスクトップアプリで次に送る一言をAIが先読みして提案する「Composer predictions」(Pro向けベータ)と、スマホだけでAI秘書「dots」を作れるように記事
6日目リセット「Reset」のひと言。全員向けのフルリセット記事
7日目改善GPT-6.1 Solが一度に見渡せる文章量の標準値を27.2万から50万トークンへ約8割拡大。契約プランの枠内なら長文の追加料金なし記事
8日目リセット再び「Reset」。全員向けのフルリセット記事
9日目改善ChatGPTとCodexのデスクトップアプリがパソコンに保存するデータを約6割削減記事
10日目リセット“リセットボタン紛失説”に冗談で応えてフルリセット。2時間以内に反映記事
11日目改善作業を止める「Selected model is at capacity(満席)」エラーを大幅に削減。出ても自動で再開記事
12日目改善AIの“読み直し”のムダを減らし、同じプランで実質的に使える量が増加。最上位のGPT-6 Astra Proも強化記事
13日目リセットフランス語風の「Le limit reset」でフルリセット記事
14日目改善ChatGPTのデスクトップアプリで、会話の途中にある過去のメッセージを後から編集できるように記事
15日目リセット公式番組「COOKED」初回の紹介で始まったが、同じ日に「まだ仕込み中」としてフルリセットに切り替え記事1・記事2
16日目改善古い会話に戻っても“キャッシュ切れ”で割高にならないように改善。APIには12時間のキャッシュ記事
17日目リセットフルリセット。あわせてセキュリティ向け特別枠「Daybreak Blue」の事前申請を呼びかけ記事
18日目リセットDecisions APIの正式版などを挙げつつ、結論は「リセット」記事
19日目改善“小さな改善”3つ。dotsの通話が速くつながり、会話の途中で考える深さを変えてもキャッシュが切れない。Codex CLIも更新記事
20日目リセット「Rest and reset(休んで、リセット)」。当日中に反映記事
21日目リセット「残り7日で何が起きるか」と意味深なひと言を添えてフルリセット記事
22日目改善新モデル「GPT-6.1 Terra」。画面を読み取ってアプリを操作でき、Solの2倍使えてAPI料金も半額記事
23日目リセットiCloudのメール・カレンダー連携を“今日の改善”に見せかけて「冗談です、リセット」記事
24日目改善dotsにiMessageやRCS(スマホの標準メッセージ)で仕事を頼めるように。まずは米国のPro利用者から記事
25日目改善Pro 100・200・500とBusiness Premiumで利用枠を2倍に。Pro 200の削減計画は撤回記事
26日目改善ChatGPTのスマホアプリで複数のアカウントをサインアウトせずに切り替えられるように(パソコン版は近日)記事
27日目貯めておけるリセット「Banked 1/2」。各自のアカウントに、好きなときに使えるリセットを1回分記事
28日目貯めておけるリセット「Banked 2/2」。2回目の貯めておけるリセットで宣言が完走記事

8日目と9日目、14日目と15日目、15日目と16日目は、それぞれ2日分をまとめた記事で紹介しています。15日目は、番組の紹介とリセットへの切り替えを2本の記事に分けて取り上げました。

仕事で役立つ改善——使える量が増えた

一般の利用者にとって、いちばん効いてくるのは「同じ料金でどれだけ使えるか」に関わる改善です。28日間では、この分野の改善がもっとも多く出ました。スマホの通信量にたとえるなら、ギガの上限が増えたり、同じ動画を見てもギガが減りにくくなったりした、というイメージです。

  • 2日目:見張り役AI「Auto-review」が、利用枠を使わずに使えるようになりました。これまでは利用枠の2〜10%ほどを占めることがあったとされ、そのぶんをほかの作業に回せます
  • 12日目:AIが同じ資料を何度も読み直すムダを減らし、同じプランのまま実際にこなせる作業の量が増えました
  • 16日目と19日目:しばらく前の会話に戻ったときや、会話の途中で考える深さを変えたときにも、読み込み済みの内容(キャッシュ)が無駄にならず、割高になりにくくなりました
  • 22日目:新モデル「GPT-6.1 Terra」は、主力のSolと比べて同じプランで2倍使えるとされています
  • 25日目:Pro 100・200・500とBusiness Premiumで、利用枠が2倍になりました。ただしPro 200は、もともと多い枠を持っていた人は“そのまま”で、予定されていた削減が取り消されたことが中心です

仕事で役立つ改善——速く、止まりにくくなった

AIに作業を任せるときの「待ち時間」や「途中で止まるストレス」を減らす改善も続きました。厨房の手際が良くなって、料理が早く、途切れずに出てくるようになった、という変化です。

  • 1日目:主力モデルの標準の速さが約50%向上しました。利用者側の設定変更はいりません
  • 4日目:作業中のAIに途中から出した指示がすぐ効くようになり、GPT-6.1 Solを最大8倍速で動かす「Ultrafast」も登場しました
  • 7日目:GPT-6.1 Solが一度に見渡せる文章量が約8割増え、長い資料を扱う作業で途中の要約し直しが起きにくくなりました。仕事机が広くなったようなものです
  • 9日目:デスクトップアプリがパソコンに保存するデータが約6割減り、パソコンの“物置”が軽くなりました
  • 11日目:作業を止めてしまう「満席」エラーが大幅に減り、出てしまっても自動で続きを再開するようになりました

仕事で役立つ改善——スマホとdotsでできることが増えた

パソコンの前にいなくてもAIに仕事を頼める範囲も広がりました。中心になったのは、常時働くAI秘書「dots(ドッツ)」と、ChatGPTのスマホアプリです。

  • 5日目:スマホのChatGPTアプリだけで、自分のdotを作れるようになりました
  • 19日目:dotsとの通話が、より速くつながるようになりました
  • 24日目:iPhoneのiMessageやAndroidの標準メッセージから、友だちに送る感覚でdotsに仕事を頼めるようになりました。まずは米国のPro利用者向けの試験提供です
  • 26日目:ChatGPTのスマホアプリで、仕事用と個人用など複数のアカウントを、サインアウトせずに切り替えられるようになりました。パソコン版は近日対応とされています

仕事で役立つ改善——ChatGPTのふだんの使い勝手

Codexだけでなく、ChatGPTそのものの使い勝手に関わる改善もありました。

  • 3日目:ふだんのチャットに最新のGPT-6が入り、比較なら横並びの表、説明なら図解というように、答えを“画面”で返す「Intelligent UI」が使えるようになりました
  • 5日目:Codexのデスクトップアプリで、次に送る一言をAIが先回りして提案する「Composer predictions」が始まりました(Pro向けのベータ)
  • 14日目:デスクトップアプリで、会話の途中にある自分の過去のメッセージを後から書き直せるようになりました
  • 2日目:会議のメモを取ってくれる「Meetings」も統合されました

このほか、2日目のAPI利用枠の簡素化や「Decisions API」の公開、16日目のAPI向け12時間キャッシュなど、社内ツールにAIを組み込む開発者向けの改善も出ています。自社でシステム開発を外注している場合は、担当の方に伝えておくとよいでしょう。

リセットと「貯めておけるリセット」は何だったのか

Codexには「5時間ごと」と「1週間ごと」の2種類の利用枠があり、使い切ると枠が戻るまで待つ必要があります。リセットとは、この枠を満タンに戻すことです。月の途中で残りのギガが全部戻ってくるようなもので、プランの上限そのものが恒久的に増えるわけではありません。

28日間のうち11回は、OpenAI側が全員の枠を一斉に戻す型でした。自分で操作する必要はなく、たくさん使っていた人ほど得をする仕組みです。一方、27日目と28日目の2回は「貯めておける型」で、使う日を自分で選べる回数券のようなものです。OpenAIのヘルプセンターによると、「設定」→「使用量(Usage)」で残りの回数と有効期限を確かめられ、使うと5時間枠と週の枠の両方が回復し、週の切り替え日も変わります。期限が切れると取り戻せません。

27日目と28日目の両方を受け取っていれば、手元には2回分があるはずです。締め切り前の大きな作業や、新しいモデルを試す日のためにとっておき、2回を続けて使うより間をあけて使うのが無駄のない使い方です。チームで使っている場合は、誰がいつ使うかを共有しておくと安心です。詳しくは「28日目の記事」で整理しています。

これからどうなる?まだ発表されていないこと

宣言は完走しましたが、まだはっきりしていないこともあります。執筆時点(日本時間11月2日昼)で、ソティオ氏から28日間の振り返りや次の取り組みについての発表は出ていません。OpenAIの公式X・公式YouTubeでも、この28日間をまとめた紹介動画は見当たりませんでした。

  • 27日目・28日目の貯めておけるリセットの対象プランと有効期限(各自の「使用量」画面で確認するのが確実です)
  • 26日目のアカウント切り替えのパソコン版がいつ使えるようになるか
  • 24日目のdotsへのメッセージ機能が、米国以外やPro以外のプランに広がる時期
  • 21日目に「残りの7日間で何が起きるか」と予告された内容が、終盤の改善を指していたのか、まだ先があるのか
  • 返信で寄せられた「もう一度28日間チャレンジを」という声に応えるかどうか

どれも未発表のため、この記事では予想はしません。新しい発表があれば、AI JAPAN PROJECTでもお伝えします。

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善か、できない日はフルリセット」という公開の約束は、改善16回、リセット13回で完走しました。速さの向上や新モデル、使える量の引き上げ、スマホやdotsでできることの拡大など、エンジニアでない利用者にも関係する変化が多かったのが特徴です。後半はリセットの日が増えましたが、最後は好きなときに使える2回分のリセットが手元に残りました。

仕事で使っている方は、この機会に一覧表を見ながら、自分の仕事に関係する改善を社内の使い方メモに反映しておくのがおすすめです。あわせて「使用量」画面で、貯めておけるリセットの回数と期限を確認しておきましょう。

参考リンク

この記事を書いた人
この記事を書いた人

毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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