Codex「28日間の改善」18日目はDecisions API正式版などを挙げつつフルリセット——Open ResponsesはLinux Foundation系団体へ、UberはChatGPT Workを全社導入

Codex Day 18 コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏が続けている「28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束は、18日目を迎えました。この日の投稿では、AIに“すばやく判断させる”ための「Decisions API」の正式版、OpenAIの仕様「Open Responses」のLinux Foundation系の団体への参加、性能の改善、そしてUberの全社導入と、話題が並びました。それでも結論は「でも、そう……リセットです!」。2日連続のフルリセットです。それぞれの中身と、中小企業や個人事業主にとってどう関係するのかを整理します。

宣言そのものは「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事、前日の17日目はフルリセットとDaybreak Blueを紹介した記事で取り上げています。

18日目は“出したもの”を並べたうえで、またフルリセット

「Day 18/」の投稿は、日本時間10月23日午後1時46分ごろでした。17日目の午後3時55分ごろより少し早いものの、米国西海岸では夜の10時前にあたる時間帯です。

日本語にすると、おおよそ次のとおりです。「18日目。Decisions APIが正式版(GA)になり、OpenResponsesはLinux Foundationに加わり、いくつかの性能改善を出し、UberはCodexとWork(ChatGPT Work)に全面的に乗り出します。でも、そう……リセットです!」。

ソティオ氏はこの約1分後、自分の投稿に「明日の太平洋時間午前10時までに、小さな新機能と一緒に反映(Landing tomorrow before 10am PST together with a small ship)」と書き足しています。投稿は米西海岸の10月22日夜だったため、文字どおりに読めば日本時間10月24日の未明(午前2〜3時ごろ)までに反映される計算ですが、正確な時刻は書かれていません。一緒に届くという「小さな新機能」の中身も、まだ明かされていません。

リセットとは、使いすぎで上限に近づいていた利用枠(決められた期間に使える量)を、いったん満タンに戻すことです。今回の投稿にも、どのプランが対象かといった細かい条件は書かれていません。これまでのリセットと同じく、CodexやChatGPT Workの利用者向けとみられます。上限が気になって大きな作業を控えていた人は、反映後に進めるとよいでしょう。

18日間の流れ——改善11回、全員向けリセット8回

OpenAI開発者コミュニティで宣言の進み具合をまとめているスレッドでも、18日目は「Day 18: It’s a reset(リセット)」と記録され、スレッドの題名も「Another Reset(またリセット)」に変わりました。全員向けのリセットは、2日目、6日目、8日目、10日目、13日目、15日目、17日目に続いて8回目です。明確な改善の日は16日目までの11回のままで、宣言は残り10日となりました。

今回は、投稿の中で正式版の公開や新しい取り組みがいくつも挙げられたうえでのリセットです。ただし、ソティオ氏自身が「リセット」と締めくくり、コミュニティのまとめでもリセットの日として数えられているため、この記事でもリセットとして数えています。以下では、投稿で挙げられた4つの話題を順に見ていきます。

Decisions APIが正式版に——AIに「はい・いいえ」や「どれにするか」を素早く決めさせる

Decisions API(ディシジョンズAPI)は、AIに長い文章を書かせるのではなく、「この問い合わせはどの担当に回すか」「この写真に傷はあるか」といった、答えの範囲が決まった問いにだけ素早く答えさせる仕組みです。10月上旬に誰でも試せる公開ベータとして始まり(公開ベータを紹介した記事)、OpenAIは10月22日(米国時間)に正式版(GA=一般提供)としました。

OpenAIの公式発表によると、中身はGPT‑6 Lunaをもとにしており、通常の使い方(Responses API)でGPT‑6 Lunaに聞くより最大10倍速く判断できます。答え方は次の3種類です。

種類使いみち返ってくる答え
predicate(真偽)「商品に目に見える傷があるか」など、条件に当てはまるかを見積もる当てはまる確率(0〜1)
choice(選択)「続ける・やり直す・聞き返す」など、あらかじめ決めた選択肢から1つ選ぶ選ばれた選択肢と、その確からしさ
score(採点)「傷の深刻さ」など、段階のある基準で評価する段階に沿った点数

公開ベータからの主な追加点は、次のとおりです。

  • 音声AI「GPT‑Live」との直接の連携。会話の途中で「聞き返すか、担当に回すか」などをすぐに判断できる
  • 同じ前提を何度も使うときのプロンプトキャッシュ(読み込み済みの内容の再利用)
  • 処理する場所を米国内・EU内に限定できる選択肢
  • JSON形式のデータをそのまま渡せる機能と、質問の説明に画像を含める機能
  • 1回の依頼で聞ける質問が最大400個に(従来の2倍)。アジアのいくつかの地域でも処理能力を増強

料金は、読み込ませる文字量(入力トークン)100万あたり0.10ドル、キャッシュ済みの入力は100万あたり0.01ドルで、出力には料金がかかりません。条件を満たす顧客は、データを保存しない設定(Zero Data Retention)も使えます。

公式発表には利用企業の声も並んでいます。Boxは保険証明書30件の振り分けで、同じ正確さのまま約5倍速くなったとしています。Rampは、AIの費用を実際の業務にひもづける作業が、GPT‑6 Lunaと比べて4倍速く、30%安くなったといいます。Sierraは顧客との会話の中で次の行動を選ぶ処理が約3倍速く、1回あたりの費用は90%下がったとしています。語学学習のSpeakは、GPT‑Liveとの連携で次の動作までの時間が1.4秒から0.13秒に縮まったそうです。OpenAI社内でも、dotsのチームが反応を速くするのに使っているほか、家計管理の取引明細の分類や、広報での報道記事の分類に使われています。

Open ResponsesがLinux Foundation系の団体へ——AIサービスの“共通の受け答えの形”

2つ目の話題は「Open Responses(オープン・レスポンシズ)」です。これは、OpenAIのResponses APIをもとにした、AIサービスとのやり取りの“共通の書式”をまとめたオープンな仕様です。依頼の書き方や、答えが少しずつ届くときの知らせ方、道具(ツール)の呼び出し方をそろえることで、一度書いたプログラムを、別の会社のAIでもそのまま動かしやすくすることを目指しています。たとえるなら、メーカーが違っても同じ形で差し込めるコンセントのようなものです。

Linux Foundationの10月22日の発表によると、同財団のもとでAIエージェント(自分で考えて作業を進めるAI)の共通技術を育てる「Agentic AI Foundation(AAIF)」が、新たに4つのプロジェクトを迎え入れました。

プロジェクト提供元
Agent SkillsAnthropic
Open ResponsesOpenAI
OpenEnvHugging Face
OpenSandboxAlibaba

AAIFには、AIと外部の道具をつなぐ「MCP」や、OpenAIが先に預けた「AGENTS.md」などがすでに参加しており、今回で参加プロジェクトは、2025年12月の発足時の3つから10に増えました。発表は米サンノゼで開かれたイベント「AGNTCon + MCPCon North America」に合わせて行われています。特定の1社ではなく中立の団体のもとで仕様を育てることで、ほかの会社も安心して対応しやすくなります。

UberがChatGPT Workを全社に、開発ではCodexを継続——あわせて性能改善も

3つ目は、配車サービスのUberです。OpenAIの10月22日の発表によると、Uberは1,000人での試験導入を経て、「ChatGPT Work」を3万人を超える全社員に広げます。ChatGPT Workは、ChatGPT Enterprise(企業向けChatGPT)の中で、調べもの、会議の資料づくり、プレゼン作成、データ分析など、いくつもの手順がある仕事を最後まで仕上げるAIエージェントです。Uberにとって、知識労働向けのAIエージェントを全社で導入するのは初めてだといいます。

  • Googleドライブ、Gmail、Googleカレンダー、Slackなど、ふだん使う道具とつながる
  • 標準のモデルはGPT‑6.1 Sol。音声や画像生成の機能も使える
  • Uber社内のAIスキル集、承認済みの連携、社員向け研修で、業務部門・財務・マーケティング・製品などの活用を支える
  • 開発者やソフトウェアのチームは、引き続きCodexで開発を進める

UberのCTO(最高技術責任者)プラビーン・ネッパリ・ナガ氏はXで、AIの技術者と現場のチームを組ませる「AIポッド」の取り組みで、150都市にわたる投資配分の作業を15時間から30分に縮めた例を紹介しています。ソティオ氏の「Codexとワークに全面的に」という言葉は、この全社導入を指したものです。

4つ目の「いくつかの性能改善」については、ソティオ氏は具体的な中身を書いていません。同じ日の日本時間午後1時48分ごろには、Codexのコマンドライン版(Codex CLI)の正式な新版0.164.0がGitHubで公開されています。よく使う設定を番号付きで保存できる「/presets」、モデルや権限を1行で切り替えられる指定、端末内での画像の簡易表示、企業向けのMCP認証、会話の要約(圧縮)に失敗する問題などの修正が含まれています。ただし、これがソティオ氏の言う「性能改善」にあたるかどうかは示されていません。

公式Xで公開された紹介動画

OpenAIの開発者向け公式X(@OpenAIDevs)は、Decisions APIの正式版を告知する投稿で、公開ベータ開始時の紹介動画(約1分12秒)を引用しています。アプリが、使うモデルや道具、次の行動をほぼリアルタイムで選べる様子を紹介する内容です。

公式の紹介動画

OpenAIの公式YouTubeチャンネルでは、UberがChatGPT Workを3万人超の社員に広げる取り組みを紹介する動画が公開されています。UberのCTOネッパリ・ナガ氏と、OpenAIの社長グレッグ・ブロックマン氏が登場します。

Open Responsesについては、公式の紹介動画は見つかりませんでした。

ビジネス利用者にとっての意味

18日目の内容を仕事に生かすなら、次の点を押さえておくとよさそうです。

  • 利用枠が残り少なかった人は、リセットの反映(日本時間10月24日未明が目安)を待ってから、大きな作業を進める
  • 問い合わせの振り分けや書類の分類など、「答えの選択肢が決まっている判断」を大量にこなしたい場合は、Decisions APIが選択肢になる。出力に料金がかからないため、件数が多い作業ほど費用を見積もりやすい
  • システム会社に開発を頼んでいる場合は、Open Responsesのような共通の書式に対応しているかを聞いておくと、将来ほかのAIに乗り換えるときの手間を減らせる可能性がある
  • Uberの例のように、いきなり全社ではなく少人数で試し、社内のルールや研修を整えてから広げる進め方は、規模を問わず参考になる
  • Codex CLIを使っている人は、新版0.164.0への更新で、よく使う設定の保存や不具合の修正を受けられる

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善かフルリセット」宣言の18日目は、日本時間10月23日午後1時46分ごろの発表で、2日続けてのフルリセットになりました。ソティオ氏の書き込みどおりなら、日本時間10月24日の未明までに、小さな新機能と一緒に反映される見込みです。全員向けのリセットはこれで8回目、改善の日は11回で、残りは10日です。あわせて、Decisions APIの正式版、Open ResponsesのLinux Foundation系団体AAIFへの参加、UberによるChatGPT Workの全社導入、性能改善が挙げられました。“決まった問いに素早く答えるAI”と“乗り換えやすい共通の書式”は、AIを業務に組み込む会社にとって見逃せない動きです。残り10日も引き続き追いかけます。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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