Codex「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言——OpenAIが今後28日間の公開約束

コラム

OpenAIでCodexとChatGPT Workを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏が、Xで思い切った「公開の約束」をしました。今後28日間、毎日ひとつ「多くの利用者が実感できる明確な改善」を出す。それができない日は、利用枠を満タンに戻す「フルリセット」を行う、という内容です。投稿は日本時間2026年10月5日早朝で、執筆時点で450万回以上表示されています。AIの使い勝手は「性能」だけでなく「使える量」と「わかりやすさ」でも決まります。この記事では、宣言の原文、フルリセットの中身、まだ決まっていない点を、AIを業務で使うビジネスパーソン向けに整理します。

Codex責任者がXに投稿した宣言

宣言そのものは、ソティオ氏(Xでは@thsottiaux、プロフィールは「Codex & ChatGPT @OpenAI」)の個人アカウントから投稿されました。前日の自分の投稿を引用する形で書かれています。

何が宣言されたのか——原文とその意味

原文は次のとおりです。「Over the next 28 days, each day we’ll either ship one thing that is a clear improvement and relevant for most codex/work users or ship a full reset. Let the improvements begin.」日本語にすると、「これから28日間、毎日、Codex/Workの大半の利用者に関係する明確な改善をひとつ出すか、フルリセットを出すかのどちらかを行う。改善を始めよう」という意味です。

ポイントは「どちらか一方」という点です。毎日リセットがもらえるわけではありません。基本は改善を出し、出せなかった日の「埋め合わせ」がフルリセット、という構図です。しかも改善の条件は「一部のマニア向けの小さな機能」ではなく「大半の利用者に関係するもの」とされています。飲食店でたとえるなら、「28日間、毎日ひとつ常連さん全員が気づく新メニューか改良を出す。出せなかった日はその日のお会計をサービスする」と店長が店先に貼り出したような約束です。

引用元になった前日(日本時間10月4日午後)の投稿では、「本腰を入れる。いま取り組むのは、シンプル化、より多く使えるための効率化、画期的な機能、新モデルだけだ」と書き、「先回りした投資が必要なこともあるが、皆さんがもっとシンプルにしてほしいと望んでいることははっきりした」と続けています。さらに、批判的な利用者が「28日間の修正」と書いたのに対しては、「修正ではない。大きな改善だ」と返信しました。単なる不具合の手当てではなく、目に見える前進を毎日出す、という意思表示です。

「フルリセット」とは——使える量を満タンに戻すこと

ChatGPTの有料プランでCodexを使う場合、使える量には上限があります。スマホのデータ通信量(ギガ)が月ごとに決まっているのと似ていて、Codexでは「5時間ごとの枠」と「1週間の枠」の2段構えで管理されています。たくさん使うと枠が減り、使い切ると枠が戻るまで待つ必要があります。

OpenAIのヘルプセンターは、保存しておけるタイプの「フルリセット」について、使うと5時間枠と週の枠の両方が回復し、週の枠が戻る日付も変わる、と説明しています。また、リセットはあくまで枠を満タンに戻すもので、プランの上限そのものを恒久的に増やすものではありません。なお、ソティオ氏は9月下旬にも「Codexと(ChatGPTの)Workの両方で、すべての有料ユーザーの利用上限をリセットする」と告知しており、これまでのリセットは両サービスの利用枠をまとめて対象にしてきました。

一方で、今回の宣言でいう「フルリセット」が自動で全員に適用されるのか、保存型として配られるのか、どのプランが対象なのかは、執筆時点で明らかにされていません。28日間の終わりの日付も示されていないため、宣言の翌日から数えれば11月上旬ごろまで、というのが目安です。

なぜ今なのか——「もっとシンプルに」という声

背景には、ここ1週間ほどの慌ただしさがあります。OpenAIは9月29日(米国時間)の開発者向けイベント「DevDay 2026」で、新モデルのGPT-6.1 Solや、ノートPCを閉じても作業が続く「Codexクラウド環境」など、多数の更新を一度に発表しました。ところがGPT-6.1 Solは公開直後に利用が殺到し、速度が落ちる場面がありました。ソティオ氏は10月2日に「GPT-6.1 Solの出だしが遅かったことをおわびする」と投稿し、日本時間10月3日にかけて有料のChatGPTアカウント全体を対象にリセットを実施しています。

一度にたくさん増えた機能は、使う側にとって「覚えることが多すぎる」という負担にもなります。ソティオ氏は宣言後の返信で、「利用者数も契約数も順調に伸びている。ただ、フィードバックははっきりしていた」と書いています。売上が伸びているからこそ、複雑さへの不満を放置しない、という判断と読めます。

なお、OpenAIの公式変更履歴(ChatGPT & Codex changelog)の最新項目は、執筆時点(日本時間10月5日夜)でも10月1日付のCodex CLI 0.160.0のままです。宣言後の「1日目」として明示された改善やリセットの告知も、まだ確認できていません。米国の10月5日の業務が始まるのは日本時間の深夜からなので、最初の成果はこれから出てくるとみられます。

公式の紹介動画

今回の宣言そのものに関する公式動画は、OpenAIの公式X・公式YouTubeともに見当たりませんでした。ここでは、Codexがどんな道具かをつかむために、DevDay当日にOpenAI公式YouTubeで公開された「Meet the all new Codex Cloud」を紹介します。作業をクラウドで始め、ノートPCを閉じてもスマホから進み具合を確かめられる様子が見られます。同じ内容の短い動画は、開発者向け公式アカウント@OpenAIDevsのXにも投稿されています。

ビジネス利用者はどう受け止めればよいか

Codexは、指示を出すとプログラムの作成や修正、調べものなどを自分で進めてくれる「デジタル部下」のような道具です。これまでのリセットがCodexとChatGPT Workの両方を対象にしてきたように、社内でこれらを使っている人にとって、今回の宣言は「道具が毎日少しずつ良くなる」か「使える量が回復する」かのどちらかが毎日起こる、という意味を持ちます。

実務で意識したいのは次の3点です。まず、毎日の変化を追う担当を決めておくこと。ソティオ氏のXと公式の変更履歴を1日1回見るだけで、「使い方が変わった」「新しい機能が増えた」に早く気づけます。次に、リセットを当てにした計画を立てないこと。リセットは改善が出せなかった日の代わりであり、いつ来るかは予告されていません。重い作業は、設定画面の「使用量」で残りの枠を確かめてから入れるのが安全です。最後に、改善が多い時期は手順書を更新するタイミングでもあります。28日後に「何が変わったか」を一覧にして、社内向けの使い方メモを見直すと、新しい機能を無駄にせずに済みます。

今回の背景にあるモデルや障害については、当サイトのGPT-6.1 Sol発表の解説や、Codexの一時的な全面停止についての記事もあわせてご覧ください。

まとめ

OpenAIでCodexを率いるソティオ氏は、「今後28日間、毎日、大半の利用者に関係する明確な改善を出すか、出せなければフルリセットを行う」とXで宣言しました。注目点は、改善とリセットが「どちらか一方」であること、そして改善のハードルが「大半の利用者に関係するもの」と高めに置かれていることです。一方、リセットの配り方や対象プラン、終わりの日付はまだ示されていません。機能を一気に増やしたDevDayの後で、「もっとシンプルに」という声に毎日の成果で応えられるか。28日間の結果は、Codexを業務に取り入れるかどうかを考える企業にとっても、よい判断材料になりそうです。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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