Codex「28日間の改善」2日目は4連発でも投票でフルリセット——会議メモ・Decisions API・API利用枠の簡素化

コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏の「28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束。2日目は、見張り役AI「Auto-review」の無料化に続いて、さらに3つの改善が立て続けに発表されました。API(ほかのサービスからAIを呼び出す仕組み)の利用枠の簡素化、会議のメモを取ってくれる「Meetings」プラグイン、判断に特化した「Decisions API」の一般公開です。ところが、その日の出来をXで利用者に問うたところ、約76%が「リセットが必要」に投票。結果として、改善はそのまま残したうえで、利用枠のフルリセットも実施されるという展開になりました。この記事では、2日目の後半に出た改善と、投票によるリセットの中身を、AIを仕事で使うビジネスパーソン向けに整理します。

宣言そのものは「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事で、1日目の高速化と2日目最初のAuto-review無料化は前回の記事で詳しく紹介しています。

2日目は「4つの改善」と「リセット」の両方に

前回の記事を書いた時点(日本時間10月6日夜)では、「Day 2.1/」のAuto-review無料化だけが発表されていました。その後、日本時間10月7日の未明から早朝にかけて「Day 2.2/」「Day 2.3/」「Day 2.4/」と続き、午前6時前にはソティオ氏が2日目のまとめを投稿しています。

まとめの内容は、「2.1:Approve for me(Auto-review)が利用枠を使わずに含まれるようになった」「2.2:開発者向けにAPIを簡素化」「2.3:会議メモを統合」「2.4:開発者向けにDecisions APIを公開。アプリの体験向上にも自社で使っていく」の4点です。Auto-reviewについては、これまでは使うとプランの利用枠の2〜10%ほどを占めることがあった、とも補足しています。無料化は、そのぶんほかの作業に枠を回せるという意味でもあります。

2.2:API利用枠の段階が5つから3つに

「Day 2.2/」は、日本時間10月7日午前4時ごろの投稿です。ソティオ氏自身が「今回は小さめ」と前置きしつつ、「APIで開発するときの手間をひとつ減らした」と紹介しました。引用しているのは、開発者向け公式アカウント@OpenAIDevsの発表です。

OpenAIのAPIには、これまでの支払い実績に応じて「一度にどれだけ使えるか」の上限が上がる仕組みがあります。会員ランクのようなもので、ランクが上がるほど、1分あたりに送れる依頼の数や、毎月使える金額の上限が大きくなります。今回、有料のランクが5段階から「Build」「Launch」「Grow」の3段階にまとめられ、最上位のGrowには累計500ドルの支払いで到達できるようになりました。これまでの最上位は累計1,000ドルが条件だったので、半分になった計算です。

公式ドキュメントによると、到達条件と毎月の利用上限は次のとおりです。すでに有料ランクにいる組織は、新しいランクへ自動で移るため、手続きは不要とされています。

ランク到達条件(累計の支払い)毎月の利用上限
Build5ドル500ドル
Launch100ドル5,000ドル
Grow500ドル20万ドル

ChatGPTの画面からCodexを使っているだけの人には、直接の影響はありません。一方で、自社のシステムや社内ツールにAIを組み込もうとしている会社にとっては、「利用者が増えたとたんに上限に引っかかる」という心配が小さくなります。開発者フォーラムでも、立ち上げ期のスタートアップにとって大きな壁だったと歓迎する声が出ています。

2.3:会議のメモ係「Meetings」プラグイン

「Day 2.3/」は日本時間10月7日午前5時47分ごろ。ChatGPT公式アカウント(@ChatGPT)の発表を引用し、「同僚と話した内容を覚えておく心配はもういらない。思う存分話して、その中身をCodexに読み込ませて仕事を片づけよう」と紹介しています。

公式の説明によると、Meetingsプラグインは会議のメモを取り、ChatGPTがその人について知っていることや、これまで一緒に進めてきた仕事をふまえて、本人向けに整えた要約と次にやることを「ChatGPT Space」に保存します。メモは自分だけのものにしておくことも、チームと共有することもできます。そのうえで、ChatGPTに「この会議をふまえてプロジェクト計画を更新して」「お礼とフォローのメールを下書きして」と頼める、という流れです。ChatGPT Spaceについては『スペース』と『ページ』の使い方を解説した記事もあわせてご覧ください。

たとえるなら、会議に同席して議事録を取り、終わったら「あなたの宿題はこの3つです」と机にメモを置いていってくれるアシスタントです。現時点ではベータ版で、対象はProとBusinessの利用者、使えるのはmacOS版のChatGPTデスクトップアプリです。Enterpriseは近日対応予定とされています。デスクトップアプリをインストールし、プラグインの一覧で「Meetings」を検索して追加します。なお、日本語の会議での精度については、公式の発表では触れられていません。社外の人が参加する会議で使う場合は、メモを取っていることを事前に伝えるなど、社内のルールに沿って運用するのが安心です。

2.4:判断専用の「Decisions API」が誰でも使えるように

「Day 2.4/」は日本時間10月7日午前5時53分ごろ。@OpenAIDevsが「Decisions APIを、すべての開発者向けにパブリックベータ(公開試験版)として提供開始した」と発表し、ソティオ氏は「自分たちでも使って、みんなの体験をいろいろな形で良くしていく。リアルタイムの汎用分類器は大きな可能性を開く」とコメントしています。

Decisions APIは、文章を書くのではなく、「はい/いいえ」や「どれを選ぶか」といった判断だけを素早く返すAIです。DevDayで限定プレビューとして発表された際の内容はDecisions APIの解説記事で紹介しましたが、今回それが誰でも試せるようになりました。公式ドキュメントでは、答え方として次の3種類が用意されています。

  • 条件の判定:「この写真の商品に傷はあるか」のような問いに、当てはまる確率を0〜1で返す
  • 選択:「この問い合わせはどの部署宛てか」のように、決められた選択肢から1つを選ぶ
  • 採点:「この不具合の深刻度は何段階のどこか」のように、順序のある段階で点数をつける

入力には文章と画像の両方が使え、裏側で動くのは軽量モデルの「GPT-6 Luna」です。公式によると、同じLunaを通常の方法(Responses API)で使う場合に比べて最大10倍速く判断でき、料金は入力100万トークンあたり0.10ドル。出力には料金がかからず、入力ぶんだけを支払う仕組みです。正式版は「今後数週間のうちに」提供する予定とされています。

ビジネスの現場では、問い合わせメールの振り分け、申請書類の不備チェック、商品写真の検品、口コミの良し悪しの判定など、「大量の小さな判断」を自動化する用途が考えられます。ただし公開試験版である以上、仕様や性能が変わる可能性があります。最初は、人が最終確認する前提の下準備として使うのが現実的です。

公式の紹介動画

Decisions APIについては、OpenAI公式YouTubeチャンネルに紹介動画「Introducing the Decisions API」が公開されています。同じ内容の約1分の動画は、@OpenAIDevsのXにも投稿されています。

投票の結果、利用枠のフルリセットも実施

4つの改善を出し終えたあと、ソティオ氏はXで「4つのアップデートか、リセットか。あるいは両方か。2日目はどうだった?」と利用者に投票を呼びかけました。結果は、7万4,565票のうち76%が「リセットが必要」、24%が「良い日だった」。さらに「調整のため」として、同じ日に発表されたOpenAIの数学研究の成果を題材にした投票も行いましたが、こちらも2万8,471票のうち80.1%が「リセットが必要」を選びました。

こうして日本時間10月7日午後0時35分ごろ、ソティオ氏は次のように投稿しました。

要約すると、「良い〜素晴らしいと評価された改善を4つと、数学の証明まで出したが、投票の結果ははっきりしていて、利用者はリセットを求めている。調整もしてみたが、どうやらこのゲームはリセットが勝つようにできているらしい。とはいえ今のルールはルール。というわけで、リセットを実施した」という内容です。続く返信では「改善は取り消さない。ケーキを食べて、ケーキも残せる」「明日の3日目でまた会おう」と書いています。

宣言でいう「フルリセット」は、Codexの利用枠を満タンに戻すものです。返信欄には「残りが5%だったのに回復した」といった喜びの声が並ぶ一方、「ほんの数時間前に、手持ちのリセットを使ったばかり」「直前にお金を払って即時リセットを買った」という人からの戸惑いも目立ちました。今回のリセットが対象とするプランや、週ごとの切り替え日への影響について、執筆時点(日本時間10月7日夜)で公式の詳しい説明は見当たりません。

ビジネス利用者にとっての意味

2日目の結果は、「改善」と「リセット」の両取りでした。宣言の当初のルールは「改善が出せない日はリセット」でしたが、実際には、改善の出来を利用者の投票で判定し、物足りなければリセットも行う、という運用になりつつあります。利用者が機能よりも「使える量」を強く求めていることが、数字ではっきり表れた形です。

実務では、次の3点を意識するとよいでしょう。まず、手持ちのリセットは慌てて使わないこと。今回のように、全員向けのリセットが予告なしに届くことがあります。急ぎでなければ、その日の発表を確認してから使うほうが損をしにくくなります。次に、自社でAIを組み込む計画がある会社は、APIの新しいランクを確認しておくこと。管理画面の「Limits」で、自分の組織のランクと上限が確かめられます。最後に、MeetingsやDecisions APIのような「業務の流れそのもの」を変える機能は、小さな試行から始めること。1つの定例会議、1種類の問い合わせ振り分けなど、範囲を絞って効果を確かめると、社内に広げるときの説得材料になります。

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善かフルリセット」宣言の2日目は、Auto-reviewの無料化に続き、APIの利用枠を3段階に簡素化して最上位への到達条件を半分の500ドルに、会議メモを取る「Meetings」プラグインのベータ提供、判断に特化した「Decisions API」の一般公開と、計4つの改善が並びました。それでも利用者投票では約76%が「リセットが必要」を選び、改善を残したままフルリセットも実施されました。3日目以降、改善とリセットのどちらが、どんな基準で出てくるのか。当サイトでも引き続き追いかけていきます。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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