Codex「28日間の改善」11日目は“満席エラー”を大幅削減——「Selected model is at capacity」が出ても自動で再開へ

コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏が続ける「28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束。再びフルリセットとなった10日目に続き、11日目は、作業の途中で突然あらわれて仕事を止めてしまう「Selected model is at capacity(選んだモデルは満席です)」というエラーを大幅に減らす改善でした。さらに、このエラーが出てしまった場合でも、そこで止まらず、いずれ自動で続きを再開するようになるとしています。派手な新機能ではありませんが、AIに長い作業を任せている人ほどありがたい“安定性”の改善です。同じ日に発表された音声機能の更新とあわせて、ビジネスで使う人向けに整理します。

宣言そのものは「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事、直前の10日目は“リセットボタン紛失説”に冗談で応えた10日目の記事で紹介しています。

11日目は「満席エラー」を大幅に減らす改善

「Day 11/」の投稿は、日本時間10月16日午前0時11分ごろ。ソティオ氏のXに次のように投稿されました。

内容を日本語にすると、おおよそ次のとおりです。「作業の流れを断ち切ってしまう『Selected model is at capacity. Please try a different model(選んだモデルは処理能力の上限に達しています。別のモデルをお試しください)』の発生を非常に大きく減らすため、一連の変更を加え、計算資源も追加しました。それでも発生した場合は、そこで止まったままにならず、最終的には自動で処理を続けるはずです。まだ見かけたら教えてください。調べます」。

OpenAI開発者コミュニティで宣言の進み具合をまとめているスレッドでも、11日目は「More compute, more capacity, fewer interruptions(計算資源と処理能力を増やし、中断を減らす)」と紹介されています。

「満席エラー」とは——利用枠切れとは別のもの

このエラーは、人気レストランで「ただいま満席です。別のお店をご利用ください」と入口で断られるようなものです。お客さん(利用者)の予算やポイント(利用枠)が残っていても、お店側の席(AIを動かすサーバーの処理能力)が足りなければ入れません。つまり、自分の使いすぎで止まる「利用上限」とは別の、OpenAI側の混雑が原因の表示です。

Codexの開発が公開されているGitHubでは、10月9日ごろから「利用枠が7割も残っているのに、長い作業の途中でこのエラーが何度も出て止まってしまう」といった報告が相次いでいました。別のモデルに切り替えても少し進んだあとにまた出る、会話の整理(自動要約)の途中で失敗する、といった声もあり、AIに数時間がかりの作業を任せる使い方では特に困る問題でした。11日目の改善は、こうした声に正面から応えた形です。

何が変わるのか——「出にくくする」と「出ても続ける」

今回の改善は、レストランの例えでいえば2本立てです。

  • 席を増やす:仕組みの変更と計算資源の追加で、「満席」になる場面そのものを大幅に減らす
  • 順番待ちで案内する:それでも満席になったときは、追い返して終わりにせず、席が空きしだい自動で続きを始める

これまでは、エラーが出ると作業がそこで止まり、利用者が気づいて「続けて」と指示し直したり、別のモデルに切り替えたりする必要がありました。夜のうちに長い作業を任せておいたのに、朝見たら途中で止まっていた、ということも起こり得たわけです。自動で再開するようになれば、こうした“見張り番”の手間が減ります。

ただし、投稿の言葉は「非常に大きく減らす」であって「なくなる」ではありません。また、自動で続く場合も「最終的には(eventually)」とあるので、再開まで少し待たされることはありそうです。どれくらい減ったのかという数字、対象となるプランやアプリ、アプリの更新が必要かどうかといった細かい条件は、投稿には書かれていません。

10日目のリセットは「完了」の報告

前回の記事の執筆時点ではまだだった10日目の全員向けリセットについても、ソティオ氏は日本時間10月15日午後3時28分ごろ、「2時間以内に届きます」という自分の投稿を引用して「Done and dusted(完了、片づきました)」と報告しています。予告から約1時間半で反映されたことになります。

10日目までを振り返ると、改善の日が7回(1日目の高速化、2日目の4連発、3日目のGPT-6とIntelligent UI、4日目の即時の指示反映、5日目の次の一言の先読み、7日目の作業机の拡大、9日目の保存容量の削減)、全員向けリセットが4回(2日目、6日目、8日目、10日目。2日目は改善とリセットの両方)でした。リセットの翌日に改善が来るという、これまでの「おおむね交互」のリズムどおり、11日目は改善の日になりました。ただし、このリズムが今後も続くと公式に約束されたわけではありません。

同じ日には音声機能も更新——日本語の新しい声が追加

11日目とは別枠ですが、同じ日の日本時間10月16日午前3時19分ごろ、OpenAI公式Xは音声モデル「GPT-Live-1.1」を発表しました。ChatGPT、Codex、dots(常時働くAIエージェント)の音声機能に、新しい声とより自然なアクセント、そして「確認しています…」と待たされる場面を減らす改善が入るとしています。新しい声はフランス語、ドイツ語、ヒンディー語、メキシコのスペイン語、韓国語、そして日本語の6つです。

提供は「本日からすべての利用者へ順次」、開発者向けのAPI(ほかのサービスから呼び出す窓口)は「近日対応」とされています。ソティオ氏もこの発表を引用して「Bonjour」、続けて「Je programme en français(私はフランス語でプログラミングします)」とフランス語で投稿し、新しい声の追加を楽しげに紹介しています。GPT-LiveそのものについてはGPT-Liveの解説記事も参考にしてください。

公式の紹介動画

OpenAIの公式YouTubeチャンネルでも、GPT-Live-1.1を紹介する約40秒の動画が公開されています(同じ動画は公式Xの発表にも添えられています)。

ビジネス利用者にとっての意味

11日目の改善は、設定を変えなくても効いてくる種類のものです。仕事で使うなら、次の点を押さえておくと安心です。

  • 「Selected model is at capacity」は利用枠切れではない。残量があるのに止まったら、OpenAI側の混雑と考えてよい。まずは少し待って、自動で再開するか様子を見る
  • 長い作業を任せるときは、途中経過をこまめに確認できる区切りを作っておく。エラーは「大幅に減る」だけでゼロではないので、締め切り前の大事な作業ほど余裕を持って始める
  • それでも頻繁に出る場合は、アプリのフィードバック機能などで知らせる価値がある。ソティオ氏自身が「まだ見かけたら教えてほしい」と呼びかけている
  • 日本語の新しい声が入った音声機能は、移動中に話しかけて指示を出す、会議の合間に口頭で作業を頼むといった使い方を試すよい機会。提供は順次なので、まだ選べない場合は少し待つ

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善かフルリセット」宣言の11日目は、日本時間10月16日午前0時11分ごろに発表されました。作業を止めてしまう「Selected model is at capacity」エラーを、仕組みの変更と計算資源の追加で大幅に減らし、出てしまった場合も最終的には自動で続きを再開するようにする改善です。利用枠とは関係のない“満席”で仕事が止まる悩みは、GitHubでも多くの報告が寄せられていました。ただし「ゼロになる」とは言っておらず、細かな条件も示されていないため、しばらくは実際の使い心地を見ながら付き合うのがよさそうです。同じ日には日本語の新しい声を含むGPT-Live-1.1も登場しました。12日目以降も引き続き追いかけます。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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