DeepSeekは2026年8月13日、上位モデル「DeepSeek-V4-Pro(ディープシークV4プロ)」の正式版を、アプリ、Web、APIへ一斉に公開しました。7月末のV4 Flash正式版では、当時のProプレビュー版を公式数字で上回っていました。今回の正式版で、公式の作業系評価では再びProが上に出ています。中小企業の担当者向けに、名前の違い、使える場所、8月17日から変わる料金を整理します。
DeepSeek-V4-Proは、V4系列の上位モデル
DeepSeekは中国の生成AI企業です。V4系列は速い「Flash」と、能力を優先する「Pro」の2本立てです。今回の正式版の内部名はDeepSeek-V4-Pro-0813で、APIから呼ぶ名前はこれまでどおりdeepseek-v4-proです。公式の料金ページでは、扱える情報量は100万トークン、出力は最大38万4000トークンです。
公開重みの説明では、全体で1.6兆パラメータ、一度に動かすのは490億パラメータです。巨大な専門書の本棚を持ち、その都度必要な棚だけを開く仕組み、と考えると分かりやすいです。ライセンスはMITで、Hugging Faceなどから配布されています。ただし規模が大きいため、一般のパソコンで気軽に動かす用途には向きません。
| 名称 | 位置づけ | 取り違えやすい点 |
|---|---|---|
| DeepSeek-V4-Pro | 2026年8月13日の正式版。アプリ・Web・APIで提供 | 4月のプレビュー版や、7月時点のProプレビューとは別 |
| DeepSeek-V4-Flash | 速い・安い側。7月31日に正式版APIを公開 | 当時はProプレビューを上回ったが、今回のPro正式版とは別比較 |
| Expert Mode | アプリとWebでV4-Proを選ぶ入口 | モデル名そのものではない |
公式が強調する「道具を使って仕事を進める力」
公式の更新履歴は、正式版でエージェント能力が大きく伸び、本番環境での改善が特に大きいと説明しています。思考の深さは low / high / max の3段階で、簡単な作業はlow、日常のエージェント作業はhigh、難しい作業はmax、が公式の使い分けです。初期値は思考ありのhighです。
公式が示した数字では、Terminal Bench 2.1が87.9、文章からソフト一式を作るNL2Repoが61.5、道具を使うToolathlon-Verifiedが74.1です。同じ公式表のFlash正式版は、それぞれ82.7、54.2、70.3でした。つまり「FlashがProを超えた」という7月の話は、プレビュー版のProとの比較であり、今回の正式版Proには当てはまりません。
これらはDeepSeek自身の測定です。社内テストも含まれ、自社の仕事で同じ結果になるとは限りません。公式はあわせて、OpenAIのResponses API形式に対応し、Codex向けの設定スクリプトを用意したと案内しています。すでに別のAI開発ツールを使っている会社は、接続先を切り替えて試しやすいと考えられます。
ChatGPTやClaude、Flashと何が違うか
日常の窓口としては、ChatGPTやGeminiの方が利用者の規模は大きいです。DeepSeek-V4-Proの公式の売りは、長い資料を扱い、道具を使いながら作業を進め、API料金を比較的抑えめに設定していることです。同じ会社のFlashより能力を優先し、同時接続数の上限はFlashの2500に対してProは500です。
公開重みがある点は、ChatGPTやClaudeのクラウド専用モデルと違います。ただし「無料で手元運用」できる規模ではありません。まずはクラウドの公式入口で、日本語の分かりやすさと直しやすさを見るのが現実的です。
どこで使えるか
入口は大きく分けると、「画面で試す」「開発ツールから呼ぶ」「自社サーバーで動かす」の3つです。一般の担当者は上から、エンジニアは中央が候補になります。
| 場所 | 向いている人 | 公式の位置づけ |
|---|---|---|
| DeepSeekアプリ / Web(Expert Mode) | まず画面で試したい人 | 正式版をExpert Modeから使うと案内 |
| DeepSeek API | 自社の仕組みに組み込みたい開発者 | モデル名は deepseek-v4-pro。OpenAI形式とAnthropic形式 |
| Codex など開発ツール | プログラミングや長い開発作業をする人 | Responses API対応。公式に一括設定スクリプトあり |
| Hugging Face / ModelScope の公開重み | 自社サーバーで動かしたい技術者 | MITライセンス。一般のパソコンでは現実的ではない |
仕事での試し方としては、公開情報の長いレポート整理、小さなコード修正、既存ツールからの接続確認が向いています。データはDeepSeek側のクラウドへ送られる前提なので、まずは機密性の低い資料で見るのが安全です。
費用の目安
APIは使った分だけ払う方式です。公式は、日本時間2026年8月17日午前1時(協定世界時8月16日16時)から、混雑時間とそれ以外で料金を分けると案内しています。オフピークはピークの半額です。契約前に公式の料金ページを確認してください。
| 課金の種類 | 公式の金額(100万トークンあたり) | 補足 |
|---|---|---|
| 切替前の定額 | 入力0.435ドル、出力0.87ドル(キャッシュ命中時の入力は0.003625ドル) | 料金ページに併記されている切替前の表 |
| オフピーク(切替後) | 入力0.66ドル、出力1.98ドル | ピーク以外。切替前より上がる |
| ピーク(切替後) | 入力1.32ドル、出力3.96ドル | 協定世界時1〜4時と6〜10時。日本時間では10〜13時と15〜19時 |
| アプリ / Web | トークン課金ではなく、公式画面から利用 | Expert ModeでV4-Proを選ぶ |
感覚の目安として、切替後のオフピークなら、短いやりとりは数円以下、長い資料を何度も読み直す作業でも数十円から数百円規模になり得ます。思考を深くするほど出力側のトークンが増え、高くなりやすいです。日本の日中、とくに午前後半と夕方はピークに当たりやすいので、まとめて処理する作業は夜や早朝に回すと公式の意図に沿います。
制限と、導入前に見ておきたい点
思考モードでは、温度などの一部パラメータは効かない、と公式に書かれています。穴埋め補完(FIM)は、考えないモードだけのベータです。同時接続の上限はFlashより低く、混雑時は待ちが出る可能性があります。
日本の中小企業では、データの保管先、社内規定、顧客情報の取り扱いを先に確認する必要があります。中国企業のクラウドを使う以上、情報の行き先を説明できるかが、性能以上に導入の分かれ目になると考えられます。公式数字は自社検証であり、人の最終確認なしに契約や金銭判断を任せる前提ではありません。
まとめ:正式版でProが戻った。料金は時間帯で変わる
DeepSeek-V4-Proは、V4系列の上位モデルの正式版です。7月にFlashがプレビュー版Proを上回ったあとの更新で、公式の作業系数字では再びProが上です。アプリとWebはExpert Mode、開発はdeepseek-v4-pro、公開重みはMITですが手元運用は現実的ではありません。
当サイトには、V4 Flash正式版の記事があります。今回はそれとは別の「上位モデルの正式公開」です。まずは公開情報の要約や小さな開発作業で試し、日本語の質、確認のしやすさ、ピーク時間の料金、データの扱いを見てから広げるのが安全です。


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