LTXは2026年8月11日、オープンな動画生成モデル「LTX-2.5(エルティーエックス2.5)」を公開しました。文章や写真から、映像と音をまとめて作る最新版です。SoraやVeoのような閉じたサービスと違い、重みを自分の環境へ置ける点が公式の売りです。中小企業の担当者向けに、名前の違い、使える場所、秒あたりの料金を整理します。
LTX-2.5は、動画と音を同時に作る基盤モデル
LTXは、Facetuneなどで知られるLightricksから分かれた、映像向けの基盤モデル事業です。LTX-2.5はその最新版で、公式は「道具」ではなく、自社で組み、調整し、置ける土台だと説明しています。文章から動画、写真から動画、音から動画に対応し、映像とステレオ音声を一度の生成でそろえる、と案内されています。
前世代のLTX-2.3からの主な追加は、カットをまたいでも人物や照明が崩れにくいマルチショット、指示文の読み取り強化、長さの自動決定、動きのきれいさを上げる新しい映像の仕上げ、4K HDRやRAW、調整用の学習済み土台です。既存映像の一部だけ直す編集はベータとして案内されています。
| 名称 | 位置づけ | 取り違えやすい点 |
|---|---|---|
| LTX-2.5 | 2026年8月11日公開の最新モデル。重みとAPIの両方 | LTX Studioという制作画面そのものではない |
| LTX-2.5 Fast / Pro | APIの2段階。速いFastと、画質寄りのPro | Fastは4Kまで、Proは1080pまでと公式に記載 |
| LTX Studio | ウェブの制作スイート。複数モデルをまとめて使う | 2.5を含むが、モデル配布そのものではない |
| LTX Desktop | 自分のパソコンで動かす編集アプリ | クラウド課金ではなく、機材側の性能が条件 |
公式が強調する「つながったカット」と速さ
公式が前面に出しているのは、1回の生成で遠景・中景・寄りを続けて出し、人物、場所、照明、声をカット間で保つマルチショットです。短い指示を詳しい撮影指示へ広げる補助と、動きの長さをモデル側で決める自動尺も追加されています。公式ドキュメントの例では、灯台守が階段を上り、光が海へ広がる、といった一連の動きを秒数固定なしで渡しています。
速さの数字も公式にあります。自社の2台のGB200で、720pの10秒クリップを6.8秒で作れる、つまり実時間より速い、というものです。これは高性能サーバーでの測定であり、一般のパソコンで同じ速さになるとは限りません。画質や「映画スクリーンでも持つ」といった表現も、発表主体の主張として読むのが安全です。
SoraやVeoと何が違うか
日常の窓口としては、ChatGPTのSoraやGeminiのVeo、Google Flowの方が利用者の規模は大きいです。LTX-2.5の公式の売りは、重みをダウンロードして自社で動かせること、音と映像を別々に足すのではなく同時に出すこと、年商1,000万ドル未満なら商用利用が無償、という点です。ライセンスはApache 2.0ではなく、LTX Model Licenseです。
一方で、手元運用の公式最低条件はNVIDIA GPUのビデオメモリ32GB以上、推奨はA100(80GB)級です。普通の事務用パソコンでは現実的ではありません。まずは公式の試用画面やAPIで、日本語の指示が通るか、カットのつながり、音の自然さを見るのが近い入口です。
どこで使えるか
入口は大きく分けると、「画面で試す」「APIで組み込む」「自社サーバーで動かす」の3つです。一般の担当者は上から、開発は中央が候補になります。
| 場所 | 向いている人 | 公式の位置づけ |
|---|---|---|
| LTX API Playground | まず短い動画を試したい人 | console.ltx.video の試用画面 |
| LTX API(ltx-2-5-fast / pro) | 自社サイトや制作フローに組み込みたい会社 | 文章・画像・音声からの動画。秒課金 |
| ComfyUI | 制作現場でノードをつないで試したい人 | 公開初日からの公式連携。Hugging Faceの許可が必要 |
| Hugging Face / LTX Desktop | データを外に出したくない技術者 | 重みはゲート付き。手元は32GB以上のGPUが公式最低 |
仕事での試し方としては、商品写真を10秒の紹介動画にする、短いキャンペーン映像のたたき台を作る、既存カットのつながりを見る、が向いています。顔や顧客が写った素材は、まずは社内規定を確認してからが安全です。
費用の目安
クラウドAPIは、作った動画の秒数で課金されます。リクエスト料や本数課金はない、と公式は説明しています。自動尺を使うと、実際にできた長さで請求されます。前払い口座では、その解像度で取りうる最長秒数分がいったん押さえられる点に注意が必要です。
| 課金の種類 | 公式の金額 | 補足 |
|---|---|---|
| ltx-2-5-fast | 720p 秒0.09ドル、1080p 0.13ドル、1440p 0.19ドル、4K 0.30ドル | 試作向き。4Kまで出せる |
| ltx-2-5-pro | 720p 秒0.12ドル、1080p 0.17ドル | 仕上げ向き。上限は1080p |
| 公開重み(年商1,000万ドル未満) | モデル利用料は無償 | 電気代とGPU代は別。ロゴ強制なしと案内 |
| 公開重み(年商1,000万ドル以上) | 商用ライセンスが必要 | 会社全体の売上で見る、と公式FAQ |
感覚の目安として、Fastの720pなら10秒で約0.9ドル、1080pのProなら10秒で約1.7ドル、4KのFastなら10秒で3ドルです。何度も作り直すほど、試作費は積み上がります。自社運用なら生成ごとの課金はなくなりますが、32GB以上のGPUを用意できるかが先です。
制限と、導入前に見ておきたい点
公式のAPI表では、LTX-2.5は文章・画像・音声からの新規生成に対応し、途中差し替え(retake)、延長(extend)、リフレームは未対応です。これらはいまもLTX-2.3側の項目として料金表に残っています。1本の長さは条件により最大20秒で、4Kや高いフレームレートでは10秒までに落ちます。
Hugging Faceの配布はゲート付きで、ライセンス同意と承認が必要です。生成結果の権利関係、人物の肖像、音楽の著作権は、モデルが新しいこととは別に、利用側の確認が必要です。速さの6.8秒は高性能サーバーの数字であり、事務用PCの目安ではありません。
まとめ:試すならAPIから。手元運用は機材が先
LTX-2.5は、オープンな動画基盤の最新版です。つながったカット、音つき、4KまでのFast、年商条件つきの無償商用が公式の要点です。LTX Studioという制作画面とは別物で、モデルそのものを使う入口は試用画面、API、ComfyUI、公開重みに分かれます。
日本の中小企業なら、まず公開素材で10秒の試作をAPIから出し、日本語の指示、カットのつながり、秒課金を見るのが安全です。データを外に出したくない場合だけ、32GB以上のGPUとライセンス条件をそろえて手元を検討するのがよいでしょう。


コメント