Codex「28日間の改善」7日目はAIの“作業机”を約8割拡大——GPT-6.1 Solの標準の文脈長が50万トークンに、サブスクなら長文脈の追加料金もなし

コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏が続ける「28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束。リセットだけだった6日目に続き、7日目は久しぶりの「改善」でした。Codex(AIにプログラム作りや資料作りを任せるOpenAIのサービス)とChatGPT Workで使える最新モデル「GPT-6.1 Sol」について、AIが一度に覚えていられる文章量の標準値を、27.2万トークンから50万トークンへ約8割引き上げたという発表です。あわせて、サブスクリプションの利用枠で使うかぎり、長い文章を扱う場合の追加料金も取らないと説明されています。難しそうな話ですが、「AIの仕事机が広くなった」と考えると、仕事での意味が見えてきます。

宣言そのものは「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事、直前の6日目は利用枠の全員向けリセットを告知した6日目の記事で紹介しています。

7日目の発表は「覚えていられる量」の拡大

「Day 7/」の投稿は、日本時間10月12日午前8時45分ごろ。その約2分後に、自分への返信という形で料金についての補足が続いています。

1つ目の投稿の内容をまとめると、次のとおりです。CodexとChatGPT Workで使うGPT-6.1 Solの標準のコンテキスト長(AIが一度に見渡せる文章量)を、27.2万から50万トークンへ、約80%増やしました。今後さらに増やす予定ですが、まずは作業の途中で内容を要約し直す「コンパクション」の発生を減らし、細かなニュアンスを長い時間保ち続ける作業を助けるのが狙いです。十分にテストしたうえで、ほとんどの利用者にとって最適な値だと判断したそうです。標準値は変更でき、上げることも下げることもできます。GPT-6.1 Solが扱える最大は100万トークンです。

「コンテキスト長」と「コンパクション」をやさしく言うと

トークンとは、AIが文章を数えるときの単位です。日本語では、おおよそ1文字から2文字が1トークンに近いといわれます。コンテキスト長は、AIが仕事中に机の上へ広げておける資料の量だと考えてください。机が狭いと、新しい資料を置くたびに古い資料をしまわなければなりません。

机がいっぱいになったとき、AIは広げていた資料を短いメモにまとめ直して、机を空けます。これがコンパクションです。メモにまとめるときに、細かい指示や過去のやり取りの経緯が抜け落ちることがあり、使っている人が「さっき伝えたことを忘れている」と感じる原因になります。机が広がれば、メモにまとめ直す回数が減り、長い仕事を途切れさせずに進めやすくなります。

  • 27.2万トークン(これまでの標準):机に広げられる量に余裕が少なく、長い作業ではまとめ直しが起きやすい
  • 50万トークン(7日目からの標準):目安として、日本語の文庫本で数冊分の文章を机に置いたまま作業できる広さ
  • 100万トークン(最大):標準値を変更すれば、ここまで広げることもできる

なお、トークン数と文字数の関係は文章の種類で変わるため、「文庫本数冊分」はあくまで目安です。

サブスクなら長文脈の追加料金はなし

もう1つの発表が、料金についてです。ソティオ氏は、今回の変更によって、サブスクリプションの利用枠から使う場合、GPT-6.1 Solの長文脈の追加料金は取らないと説明しています。

背景には、APIの料金の決まり方があります。OpenAIの開発者向け資料によると、APIでGPT-6.1 Solを使うとき、1回の依頼が27.2万トークンを超えると、その依頼全体の入力料金が2倍、出力料金が1.5倍になります。これまでの標準値27.2万トークンは、ちょうどこの境目と同じ数字でした。今回の50万トークンは、その境目を超える広さです。それでも、ChatGPTのプランに含まれる利用枠で使うかぎり、境目を超えた分だけ割高になることはない、という意味だと読み取れます。

ただし、これはソティオ氏の投稿から読み取れる範囲の話です。追加料金がかからないのはサブスクの利用枠から使う場合で、APIで直接使う場合の料金表が変わったという発表は、執筆時点では確認できていません。また、ChatGPTの追加クレジットで使う場合の扱いも、投稿には書かれていません。

ここまでの7日間の流れ

28日間の宣言が始まってから、毎日の発表は次のように続いてきました。1日目は、GPTモデルが約50%速くなり、見張り役AIの「Auto-review」が無料になりました(1日目の記事)。2日目は4つの改善を出したうえで、利用者投票によるフルリセットが行われました(2日目の記事)。3日目はChatGPTにGPT-6と「Intelligent UI」が加わり、貯めておけるリセットが配られました(3日目の記事)。4日目は作業途中の指示がすぐ反映される仕組みと、最大8倍速の「Ultrafast」が登場しました(4日目の記事)。5日目は次の一言をAIが先読みする「Composer predictions」とスマホで作れる「dots」でした(5日目の記事)。

6日目は新機能がなくリセットだけの日で(6日目の記事)、ソティオ氏は「リセットは反映済み」と投稿しました。7日目は一転して、使い心地に直結する地味ながら実用的な改善です。「使える量」への関心が高かった6日目の流れから、今度は「1回の仕事で扱える量」を広げた形といえます。

ビジネス利用者にとっての意味

机が広くなると、仕事の進め方も少し変えられます。実務では、次の3点を意識するとよいでしょう。

  • 資料をまとめて渡す:長い議事録、複数の契約書、過去のやり取りなどを、分割せずに1回の仕事に渡しやすくなる。「前の資料を忘れた」というやり直しが減る可能性がある
  • 長い作業は節目でメモを残す:机が広くなっても、メモへのまとめ直しがなくなるわけではない。大事な決定事項や守ってほしいルールは、途中で一度書き出して確認しておくと安心
  • 広ければ良いとは限らないと知っておく:資料が多いほど、肝心な情報が埋もれることもある。ソティオ氏の投稿には、50万トークンが「ほとんどの利用者にとって最適な値」とあるので、まずは標準のままで試し、必要なときだけ設定を変えるのがおすすめ

会社でCodexやChatGPT Workを使っている場合、Enterprise(大企業向け)やEdu(教育機関向け)のプランでは、管理者がGPT-6.1 Solを有効にしていないと使えません。使えるかどうかは、まず社内の管理者に確認してください。

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善かフルリセット」宣言の7日目は、GPT-6.1 Solの標準のコンテキスト長が27.2万から50万トークンへ約8割広がった日でした。AIの仕事机が広がり、長い作業の途中で内容を要約し直す回数が減ることが期待できます。サブスクの利用枠で使うかぎり、長文脈の追加料金も取らないと説明されています。標準値は変更でき、最大は100万トークンです。8日目以降にどんな改善とリセットが続くのか、引き続き追いかけます。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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