Codex「28日間の改善」4日目は作業途中の指示が即反映に——GPT-6.1 Solの最大8倍速「Ultrafast」も登場

コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏が始めた「28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束。4日目に届いたのは、作業中のAIに途中から出した指示がすぐに効くようになる「ステアリング(軌道修正)」の即時化と、主力モデル「GPT-6.1 Sol」を最大8倍の速さで動かす「Ultrafast(ウルトラファスト)」モードの提供開始という、2つの“速さ”の改善でした。この日はリセットではなく「改善」の日です。この記事では、何が変わったのか、誰が使えるのか、料金や利用枠にどう影響するのかを、AIを仕事で使うビジネスパーソン向けに整理します。

宣言の内容は「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事で、3日目のGPT-6とIntelligent UI、貯めておけるリセットは前回の記事で詳しく紹介しています。

4日目は「すぐ効く軌道修正」と「GPT-6.1 Solの超高速モード」

「Day 4/」の投稿は日本時間10月9日午前4時15分ごろ。ソティオ氏は、OpenAIの開発者向け公式アカウント(@OpenAIDevs)によるUltrafastの発表を引用しながら、次のように書いています。

要約すると、「ステアリングを即時にした。モデルがこちらの修正にずっと早く反応するので、リアルタイムで方向を直せて、AIが無駄な作業をしなくて済む。あわせてGPT-6.1 SolのUltrafastも出す。この2つはとても相性がいい」という内容です。投稿には「With Instant Steering(即時ステアリングあり)」と題した約30秒のデモ動画が付いており、Codexのデスクトップ画面で作業を頼む様子が映っています。

OpenAI開発者フォーラムの公式まとめスレッドでも、4日目は「Day 4.1:GPT-6.1 SolのUltrafast」「Day 4.2:ほぼ即時の会話のステアリング」の2本立てとして整理されています。2日目は改善を出したうえで投票によりフルリセット、3日目は改善と“貯めておけるリセット”の配布でしたが、4日目はリセットなしの改善のみでした。

ステアリングとは——作業中の部下に「あ、やっぱりこっちで」と伝える仕組み

Codexは、指示を出すと自分で調べたりファイルを作ったりしながら作業を進める「デジタル部下」です。ところが、頼んだ直後に「条件を1つ伝え忘れた」「その方向ではない」と気づくことはよくあります。これまでは、作業が一区切りつくまで待つか、いったん止めて最初から頼み直すのが一般的でした。

「ステアリング」は、作業中のCodexに追加のメッセージを送り、今進めている作業そのものに反映させる仕組みです。公式ドキュメントでは、次の2つの送り方が説明されています。

  • ステアリング(Steer):今の作業にメッセージを差し込む。方向転換や、抜けていた条件の追加、新しい情報の共有に使う
  • キュー(Queue):メッセージを次の作業用に取っておく。今の作業が終わってから頼みたい追加の依頼に使う

たとえるなら、部下が資料を作り始めたところに「グラフは棒ではなく折れ線で」と声をかけるのがステアリング、「終わったら次はこれもお願い」とメモを机に置いておくのがキューです。

4日目の改善は、このステアリングへの反応を「即時」にしたというものです。ソティオ氏の説明どおりなら、途中で出した修正にAIがすぐ反応するので、間違った方向に作業を進めてしまう時間と、そのぶんの利用枠のムダが減ることになります。ただし、どのくらい速くなったのかという具体的な数字や、対象となるアプリの範囲は、執筆時点(日本時間10月9日朝)では示されていません。公式の変更履歴(Changelog)にも、ステアリングについての独立した項目はまだ見当たりません。

ステアリングの使い方

公式ドキュメントによると、使い方は次のとおりです。

  • ChatGPTデスクトップアプリ:「設定」→「一般(General)」→「Follow-up behavior(追加メッセージの扱い)」で、作業中に送ったメッセージを「ステアリング」と「キュー」のどちらで扱うかを既定として選べる。設定画面には、1回だけ別の扱いにするためのショートカットも表示される
  • キューに入れたメッセージ:入力欄の上に表示され、送信前に編集・並べ替え・送信・削除ができる
  • Codex CLI(コマンド画面):作業中にEnterキーでステアリング、Tabキーでキュー

コツは、追加の指示を短く具体的にすることです。「やっぱり違う」だけでは、AIは何をどう直せばよいか分かりません。「対象は2025年度のデータだけに絞って」「表は金額の大きい順に並べて」のように、変えたい点をはっきり伝えると、即時化の効果を引き出しやすくなります。また、途中で方向を変えた場合は、それまでに書き換えられたファイルなどがないか、結果を自分の目で確認しておくと安心です。

GPT-6.1 Solを最大8倍速で動かす「Ultrafast」

もう1つの柱がUltrafastです。@OpenAIDevsは日本時間10月9日午前3時26分ごろ、「GPT-6.1 SolのUltrafastを、API、Codex、ChatGPT Workで今日から順次提供する。Astraに近い賢さを、Sol標準の最大8倍の速さで」と発表しました。GPT-6.1 Solは、最上位のGPT-6 Astraに近い実力を、より安い料金で使えるモデルです(詳しくはGPT-6.1 Solの解説記事をご覧ください)。

Ultrafastは、同じモデルのまま、答えを書き出す速さを大きく引き上げる「速度モード」です。料理店でいえば、同じシェフ・同じレシピのまま、特急料金を払って最優先で調理してもらうイメージです。賢さは変わらず、待ち時間が短くなる代わりに、そのぶん多くの利用枠や料金を使います。なお「最大8倍」は文字を生成する速さの比較で、調べものや確認を含む仕事全体の時間が同じだけ縮むとは限りません。

OpenAIは使いどころとして、「障害対応のデバッグ」「アプリを操作するAIエージェント」「1秒を争うリアルタイムの体験」など、速さと賢さの両方が効く仕事を挙げています。Ultrafast自体は、DevDay(日本時間9月30日)で最上位のGPT-6 Astra向けに先に発表されており、今回それがGPT-6.1 Solにも広がった形です。

公式Xで公開された紹介動画

@OpenAIDevsの発表投稿には、Ultrafastの速さを伝える約14秒の紹介動画が付いています。この投稿はOpenAIの公式アカウント(@OpenAI)もリポストしています。

Ultrafastを使えるのは誰か——料金と利用枠の減り方

Ultrafastは、誰でも使える機能ではありません。公式の発表とヘルプセンター、ドキュメントをもとに整理すると、次のとおりです。

使う場所対象コストの目安
CodexとChatGPT Work(ChatGPTの契約プラン)Pro 500(月額500ドル)、利用量に応じて精算する対象のEnterprise、クレジット制のEduプランに含まれる利用枠を標準の8倍のペースで消費。枠を使い切った後のクレジットは標準の6倍
API(開発者向け)すべてのAPI利用者(Ultrafast専用の利用上限あり)入力100万トークンあたり12ドル、出力60ドル(標準の6倍)

注意したいのは、月額100ドルのPro 100や月額200ドルのPro 200では、クレジットを買い足してもUltrafastは使えない点です(提供開始時点)。Enterpriseでは初期設定でオフになっており、ワークスペースの管理者が有効にする必要があります。利用量に応じた精算ではなく、利用上限(レート制限)型で契約している従来型のEnterpriseは対象外です。また、GPT-6.1 SolのUltrafastは、米国と欧州(EEAとスイス)でデータを処理する「データレジデンシー」にも対応しています。

Pro 500では、モデルを選ぶメニューからUltrafastを選べます。「8倍のペースで消費」というのは速さの約束ではなく、利用枠の減り方の目安です。速くなる代わりに枠の減りも速くなるので、常にオンにするより「急ぎの場面だけ使う」ほうが現実的でしょう。

ビジネス利用者にとっての意味

4日目の2つの改善は、どちらも「AIを待つ時間」を減らす方向です。ステアリングの即時化は、対象プランの制限が示されておらず、多くの利用者に関係しそうな改善です。AIに仕事を任せながら途中で口を出すという、人と人の仕事に近い進め方がしやすくなります。一方、Ultrafastは対象プランが限られ、利用枠の消費も大きいため、急ぎの対応が多い開発チームや、AIを業務システムに組み込んでいる企業向けの選択肢といえます。

実務では、次の3点を意識するとよいでしょう。まず、デスクトップアプリを使っている人は「Follow-up behavior」の設定を一度確認すること。作業中に送ったメッセージがステアリングとキューのどちらになるかを知っておくだけで、意図しない動きを防げます。次に、Ultrafastを検討する場合は、いつもの作業で「速くなった時間」と「増えたコスト」を比べること。障害対応や締め切り直前など、時間の価値が高い場面に絞ると費用対効果を判断しやすくなります。最後に、企業で使う場合は、管理者が誰にUltrafastを許可するかと、1人あたりの利用上限を事前に決めておくこと。ドキュメントでも、既存の利用上限がUltrafastにも適用されるとして、有効化の前に見直すよう案内しています。

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善かフルリセット」宣言の4日目は、作業中のAIに出した追加の指示がすぐ反映される「ステアリング」の即時化と、GPT-6.1 Solを最大8倍の速さで動かす「Ultrafast」の提供開始という、2つの速さの改善でした。Ultrafastは、CodexとChatGPT WorkではPro 500と対象のEnterprise・Eduに限られ、利用枠を標準の8倍のペースで消費します。APIではすべての利用者が標準の6倍の料金で使えます。ここまでの4日間で、フルリセットは投票で決まった2日目の1回、貯めておけるリセットの配布が3日目の1回です。5日目以降に何が出てくるのか、当サイトでも引き続き追いかけていきます。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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