Herald OS(ヘラルドOS)とは?——AIエージェント「Hermes」がパソコン全体を動かす無料のオープンソースOS、日本で使えるか・料金・安全面

コラム

「ヘラルドOS」が気になっている方へ。正式名は「Herald OS(ヘラルド・オーエス)」です。パソコンの操作の中心にAIエージェントを置いた、無料のオープンソースの“OS”で、2026年10月7日(米国時間)に公開されました。

作ったのは「Luke The Dev」と名乗る米国の個人開発者です。中で動くAIは、Nous Research(ノース・リサーチ)が公開しているAIエージェント「Hermes Agent(ヘルメス・エージェント)」ですが、Herald OSはNous Researchの製品ではありません。開発者自身が「独立したプロジェクトで、Nous Researchとは提携していない」と明記しています。

この記事では、GitHubの公式リポジトリと開発者の公式Xの発表をもとに、何ができるのか、日本で使えるのか、料金や安全面はどうなっているのかを整理し、中小企業の目線で「今どう付き合えばいいか」をまとめます。

Herald OSとは

ふだんのパソコンは、フォルダを開き、アプリを探し、メニューをたどって作業します。Herald OSは、その“仕事机”の真ん中にAIの部下を座らせるような発想です。「この写真を整理して」「メモリを一番使っているのは何?」と話しかけたり文字で頼んだりすると、AIがアプリを開き、ファイルを探して整理し、決まった作業を自動で回してくれます。

開発者は発表で「AIエージェントが“アプリのひとつ”ではなく、OSの一部になっているOSを作った」と説明しています。AIのチャット画面の中に閉じこもるのではなく、パソコン全体をまたいで動けるのが特徴です。

名前の「Herald(ヘラルド)」は「伝令役」という意味です。開発途中の9月ごろは「Hermes OS」という名前で紹介されていましたが、公開時にHerald OSへ改名されました。なお、Nous Researchが8月に出したHermes Agent本体の大型アップデート「v0.20.0」にも「The Herald Release」という愛称が付いていますが、こちらはHermes Agent本体の更新で、Herald OSとは別物です。

誰が作り、いつ公開されたのか

項目内容
正式名Herald OS
開発者Luke The Dev(個人開発者。GitHub・Xのアカウント名は iamlukethedev)
公開2026年10月7日(米国時間)にGitHubで公開し、同日に公式Xで発表
最新版0.1.0-alpha.4(2026年10月13日・米国時間)。まだ「アルファ版」
ライセンスMIT(無料で使え、改変・再配布もできるオープンソース)
中で動くAINous Researchの「Hermes Agent」(こちらもMITライセンスのオープンソース)

公開から約1週間で4回の更新が出ており、写真編集アプリ「Herald Canvas」(第2版)、Word・Excel・PowerPointのファイルを開ける「Herald Office」(第3版)、デスクトップのペット(第4版)などが次々に追加されています。動きの速いプロジェクトですが、裏を返せば、まだ仕様が固まっていない段階です。

Herald OSでできること

公式リポジトリと発表で案内されている主な機能を、身近な言葉で並べるとこうなります。いずれも開発者側の説明で、どこまで実用的に動くかを第三者が十分に検証した段階ではありません。

  • 話しかけて操作:「Hey Hermes」と呼びかけるか、ショートカットキーで声や文字で指示。OSの基本操作はAIの利用料(トークン)を使わずに動き、考える作業や作る作業を頼んだときだけAIが働く
  • ファイルとアプリの操作:アプリを開く、ファイルを探す・移動する・名前を変える、動いているソフトを調べる
  • 画面について質問:画面の一部を選んで「これは何?」と聞く。画面上の文字のコピー、QRコードの読み取り、色の取得も
  • 続きから再開:最近の書類やプロジェクト、今日の予定の名前から「やりかけの仕事」を最大3つ提案(初期設定ではオフ)
  • 自動化:ログイン時、休憩から戻ったとき、電池が少ないとき、ソフトが落ちたときなどに決まった作業を実行
  • ソフトが落ちたときの解説:エラー内容をAIが読んで、何が起きたかをやさしい言葉で説明
  • その場でアプリ作り:「美容室のホームページを作って」と頼むと、コードを書いていく様子とプレビューを1つの画面で見られる「Studio」
  • 事務ソフトと画像編集:Word・Excel・PowerPointのファイルを開いて編集できる「Herald Office」、背景の切り抜きなどをパソコン内で処理する画像編集「Herald Canvas」
  • 見た目の変更:写真からテーマを作る、言葉で説明してAIにテーマを作らせる、など

「OS」という言葉には2つの意味があります。パソコンにまるごと入れる「Herald OS Linux」は、土台にLinuxのFedora(フェドラ)を使い、見える部分をすべてHeraldが描く本物のOSです。一方、Mac版はmacOSの上で全画面表示されるアプリとして動きます。ほかにArch Linux向けのパッケージ、Omarchyというデスクトップ向けの追加機能、仮想マシン(パソコンの中のもう一台のパソコン)で試す方法も用意されています。

日本で使えるか

ダウンロードに国の制限はなく、日本からでもGitHubの公開ページから入手できます。ただし、手軽に使える段階とは言いにくいのが正直なところです。

  • 画面表示の言語は英語・ブラジルポルトガル語・簡体字中国語のみで、日本語には未対応(公式READMEの記載)
  • Mac版はmacOS 13以降。Appleの公証(安全確認の手続き)を受けていないため、初回はターミナルでコマンドを打つか、設定画面から「このまま開く」を選ぶ必要がある。Intel Mac版は「まだIntel Macで試していない」と明記
  • Windowsでは直接動かず、Windows 11 Pro以上の仮想化機能で試す方法が案内されている(その配布ファイルはalpha.4より後の版から付属とされる)
  • 別途、Hermes Agentのインストールと、AIモデルの契約(またはAPIキー)が必要

話しかける言葉を日本語にした場合にどこまで正しく動くかは、公式には案内されていません。使うAIモデル次第で変わると考えられるため、今回は確認できなかった点として記しておきます。

料金

Herald OS自体は無料です。Hermes Agentも無料のオープンソースです。お金がかかるのは、AIの“頭脳”にあたるAIモデルの利用料です。公式READMEでは、Nous Researchの「Nous Portal」のアカウントか、OpenRouter・OpenAI・Anthropicなどのキー、または自分のパソコンで動かすローカルモデルのいずれかが必要とされています。

使い方料金(税抜・公式表示)内容
Herald OS本体無料MITライセンス。ダウンロードして使える
Hermes Agent本体無料MITライセンス。Herald OSの中で動くAIエージェント
Nous Portal Free月0ドル無料モデルのみ
Nous Portal Plus月20ドル毎月22ドル分のクレジット、200以上のモデル
Nous Portal Super月100ドル毎月110ドル分のクレジット
Nous Portal Ultra月200ドル毎月220ドル分のクレジット
ローカルモデルモデル利用料なしOllamaやLM Studioで自分のパソコン上のAIに切り替え可能。性能の高いパソコンが必要

Nous Portalでは、条件を満たすChatGPTのアカウントをつないで推論に使う方法も案内されています。そのほか、ほかのAIサービスのキーを使う場合は、そのサービスの従量課金になります。

参考までに、AIにパソコン作業を任せられる大手のサービスと並べるとこうなります。

サービス料金(公式ページの表示)特徴
Herald OS+Hermes Agent本体は無料。AIモデル代は別(無料モデル〜月200ドルなど)オープンソース。パソコン全体の操作が中心。アルファ版で英語中心
Claude(旧Claude Cowork)Pro:月20ドル(年払いなら月17ドル)、Max:月100ドルからAnthropic公式。日本語で使える。作業の委任・予約、Chrome連携など
ChatGPT(ChatGPT Work)Freeは無料。有料プランの金額は今回取得したページで表示を確認できずOpenAI公式。Plus以上でデスクトップ・Web・スマホから利用

※2026年10月26日時点で各社の公式ページに表示されている内容です。ドル表記は米国向けの価格で、日本円での価格や税の扱いは各社の画面でご確認ください。

サブスクの自分のAIで使えるのか?

「すでに払っているChatGPTやClaude、Geminiのサブスクで、そのまま使えるの?」というのは、いちばん気になるところだと思います。結論から言うと、契約によって答えが分かれます。ChatGPTの有料プランは使えますが、Claude ProやGoogle AI Proの利用枠はそのままでは使えず、別料金のAPIキーが必要です。

Herald OSのAIは、中で動くHermes Agentがどの会社のAIモデルにつながるかで決まります。設定画面の「Hermes & agents」にある「Model provider」で、アカウントでサインインする方式か、APIキーを貼り付ける方式かを選びます。公式の開発記録によると、サインイン方式はNous Portal・ChatGPT・xAI Grok・MiniMaxなど、APIキー方式はOpenRouter・OpenAI・Anthropic・Gemini・DeepSeekなどです。

APIキーとは、会社のAIを“部品”として外部のアプリから呼び出すための合鍵のようなものです。月額のサブスクとは別の契約で、使った量に応じて請求される従量課金が基本です。主な契約ごとに整理すると次のとおりです。

契約・方法Herald OSで使えるか料金の考え方補足
Nous Portal(Free・Plus・Super・Ultra)使える別料金のAPIは不要。サブスクの範囲で利用(Freeは無料モデルのみ)Herald OSの初期設定で最初に案内される標準の方法。設定画面でプランの残りも確認できる
ChatGPT Go・Plus・Pro使える別料金のAPIは不要。ChatGPTプランに含まれる利用枠から消費OpenAIの公式一覧に、Hermes Agentが「ChatGPTプランを使えるアプリ」として載っている。ChatGPTでサインインし、プランの利用を許可する。プランごとにどれだけ使えるかは未確認
ChatGPT Business・Enterprise未確認未確認OpenAIの案内で、他のアプリでプランを使える対象として挙がっているのはGo・Plus・Proのみ
OpenAIのAPIキー使える別料金の従量課金ChatGPTの契約とは請求が別。ChatGPT Plusにも含まれないとOpenAIが明記
Claude Proサブスクの利用枠は使えない別料金のAPIが必要Hermesの公式ドキュメントに「Proはサインイン方式を使えない」と明記。AnthropicのAPIキーを使い、使った分だけ支払う
Claude Maxサブスクの利用枠そのものは使えないMax 5xは月100ドル分、Max 20xは月200ドル分のAPIクレジットが付き、APIキーで使える。超えた分は別料金Hermesのサインイン方式は、Maxに追加購入した「追加利用分」だけを消費すると公式ドキュメントに記載。Anthropicは他社製ツールにはAPIキーを使うよう求めている
Google AI Pro・Ultra(Geminiのサブスク)使えない別料金のAPIが必要(Gemini APIキー。無料枠あり、超えるとGoogle Cloudの従量課金)Hermesにはサブスクでサインインする方法がない。Googleも、サブスクの特典はAI Studioの画面内だけで、APIは別請求と明記
SuperGrok・X Premium+使える(一部の契約では使えない場合あり)別料金のAPIは不要。サブスクの利用枠から消費Hermesの公式ドキュメントに、xAI側で対象の契約を絞っているため、サインインできても使えない場合があると記載
ローカルモデル(Ollama・LM Studio)使える1回ごとの料金なし性能の高いパソコンが必要。大手の大型モデルより遅く、できることも限られる
Claude Code・Codex・Gemini CLIHerald OS上の別アプリとしてなら使える各サービスの契約のままHerald OSの設定画面などから導入でき、それぞれのアカウントでサインインする。ただしHermesの“頭脳”として使うわけではない

※Herald OS v0.1.0-alpha.4と、Hermes Agentの公式ドキュメント、OpenAI・Anthropic・Googleの公式ヘルプをもとに、2026年10月26日時点で整理しました。各社の条件は変わることがあります。

注意したいのは、使った量の見え方です。Herald OSの使用量画面でプランの残りまで表示されるのはNous Portalだけで、ほかのサービスは各社のサイトで確認するよう案内されています。ChatGPTのプランを使う場合は、ChatGPTの設定画面でアプリごとの週の上限を決めたり、使用量を確認したりできます。

中小企業での現実的な選び方は、次のとおりです。

  • すでにChatGPT Plusなどを契約している人が試すなら、ChatGPTでサインインするのがいちばん手軽。追加の費用はかからず、ChatGPTの設定画面で上限も決められる
  • Claudeを使いたいなら、サブスクのログイン情報を流用せず、AnthropicのAPIキーを使う。Maxを契約していれば、毎月付くAPIクレジットの範囲で試せる
  • Geminiを使いたいなら、Gemini APIキーを用意する。無料枠はAIエージェント用途だとすぐ使い切ることがあると、Hermesの公式ドキュメントも注意している
  • 請求をひとつにまとめたいならNous Portal、データを外に出したくないならローカルモデル

いずれの場合も、個人のサブスクを業務で使ってよいかは、会社のルールと各社の利用規約に合わせて判断しましょう。まずは月ごとの上限を決めたうえで、少額から試すのが安心です。

プライバシーと安全面

パソコン全体をAIに触らせる以上、いちばん気になるのは安全面です。Herald OSはこの点をかなり細かく設計しており、AIが使う道具を4段階に分けています。

段階例AIが実行するとき
読む空き容量の確認、ファイル検索すぐ実行(記録に残る)
動かすアプリやリンクを開くすぐ実行(記録に残る)
変更するファイルの作成・移動・名前変更先に確認を求める(その場だけ/常に許可も選べる)
壊しうる操作ソフトの強制終了、ゴミ箱へ移動毎回必ず確認を求める
  • SSHの鍵、パスワード保管庫(キーチェーン)、ブラウザのCookie、AIのログイン情報、システムフォルダなどは、確認画面を出す前に一律で拒否
  • AIが道具を使うたびに、パソコン内の記録ファイルへ書き残す
  • ファイルは完全削除せず、ゴミ箱に移す
  • Herald Officeは、ファイルを初めて上書きする前に元のファイルを30日間バックアップ
  • 「続きから再開」機能は初期設定でオフ。オンにすると、最近のファイル名や予定のタイトルなど“名前と日付”をAIモデルの提供元に送る(ファイルの中身や画面は送らないと説明)。除外するフォルダや言葉も設定できる

一方で注意点もあります。「読む」「動かす」段階は確認なしで動くため、AIが自分の判断でアプリやWebページを開くことはあり得ます。また、確認画面はHermes Agent側の仕組みを使っているため、Hermes側で確認をオフにしたり、何でも自動で許可するモードにしたりすると、Herald OSもその設定に従います。

そして、AIに送られる会話や情報は、選んだAIモデルの提供元に届きます。どの会社にデータが渡るかは、Herald OSではなく「どのモデルを選ぶか」で決まる点を押さえておきましょう。公式READMEも「アルファ版なので、AIに触らせるものは必ずバックアップを」と呼びかけています。

AIエージェントの暴走をどう防ぐかという考え方は、NVIDIA Open Agent Safety Platformの記事でも紹介しています。

公式Xで公開された紹介動画

開発者のLuke The Devさんが、公開当日に公式Xへ投稿した発表です。約2分半の動画が添えられています。製品の公式YouTubeチャンネルは見当たらず、YouTube上の紹介動画はいずれも第三者によるものだったため、この記事では埋め込んでいません。

中小企業にとっての意味

Herald OSが示しているのは、「AIをアプリとして開く」から「パソコンそのものがAIの言うことを聞く」への流れです。大手のClaudeやChatGPTも同じ方向に進んでいますが、Herald OSは無料・オープンソースで、AIモデルを自由に選べ、ローカルモデルなら外にデータを出さない構成も取れる点が違います。

ただし、今すぐ会社の業務用パソコンに入れるのはおすすめしません。理由は3つです。

  • まだアルファ版で、公開から日が浅い個人開発のプロジェクトであること
  • Mac版は公証前、Windowsは仮想マシンでの試用が前提など、導入にパソコンの知識が要ること
  • 画面が日本語に対応しておらず、社員みんなが使える状態ではないこと

現実的な付き合い方は、「社内のパソコンに詳しい人が、仕事で使わない予備のパソコンや仮想マシンで試してみる」程度です。顧客情報や会計データの入ったパソコンには入れず、触らせるファイルは必ずバックアップを取ってから試しましょう。

一方で、「AIが何をしようとしているかを段階分けし、変更の前には必ず人が確認する」というHerald OSの設計は、どのAIツールを選ぶ場合でも参考になる考え方です。AIを“デジタル部下”として迎えるなら、「見るだけはOK、書き換えは確認、削除は毎回確認」という社内ルールを先に決めておくと安心です。

Herald OSの土台になっているHermes Agentについては、Hermes Agentとは?の記事で詳しく紹介しています。大手の“先回りして動くAI”との比較には、Claude Duet登場の記事も参考になります。

まとめ

Herald OSは、個人開発者のLuke The Devさんが2026年10月7日(米国時間)に公開した、AIエージェント「Hermes Agent」を中心に据えた無料のオープンソースOSです。声や文字で頼むだけでアプリやファイルを操作し、変更の前には確認を求める設計になっています。

本体は無料ですが、AIモデルの利用料は別にかかります。手持ちのサブスクでは、ChatGPTの有料プランはそのまま使える一方、Claude ProやGoogle AI Proの利用枠は使えず、別料金のAPIキーが必要です。画面は日本語未対応で、まだアルファ版です。中小企業にとっては「今すぐ導入するもの」ではなく、「パソコンとAIの関係がどう変わっていくかを知る教材」として、予備の環境で様子を見るのがちょうどよい距離感です。

参考リンク

この記事を書いた人
この記事を書いた人

毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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