Googleが無料のMac向け会議メモアプリ「AI Edge Foresight」を公開——会話も資料も外に出さないローカルAI

コラム

Googleが、Mac向けの新しい会議メモアプリ「Google AI Edge Foresight(グーグル・エーアイ・エッジ・フォーサイト)」を公開しました。日本時間10月7日未明に発表された、新しいAIモデル「EmbeddingGemma 2」の“お披露目役”として登場した実験的なアプリです。

最大の特徴は、AIの処理がすべてMacの中で完結すること。会議の音声も、文字起こしも、読み込ませた資料も、Googleのクラウドには送られないと公式に説明されています。インターネットにつながっていない場所でも動きます。

この記事では、何ができるのか、どんなMacで使えるのか、料金や入手方法、そして中小企業や個人事業主が試すときのポイントを、公式情報をもとにやさしく整理します。

Google AI Edge Foresightとは——「手元で完結する会議の相棒」

Google AI Edge Foresightは、会議中のメモ取りと、資料の「思い出し」を手伝うMacアプリです。Googleの開発者向けブログでは、「コンテキストを理解する会議の相棒(context-aware meeting companion)」を端末上で実現する実験的なアプリと紹介されています。

イメージとしては、会議に同席して黙々と記録を取り、こちらが走り書きしたメモを清書してくれる「デジタル書記」です。しかもその書記は会社の外に出ず、あなたのMacの中だけで働きます。

Macのマイクとシステム音声に直接つながる仕組みのため、Google Meet、Zoomなど特定の会議サービスに縛られず、対面の打ち合わせにも使えるとされています。

主な機能——走り書きメモの清書、資料からの回答、リアルタイム支援

公式サイトと開発者ブログで紹介されている主な機能は次のとおりです。

機能どういうものか(公式の説明)
走り書きメモの清書会議中は覚えておきたいことを短く箇条書きするだけ。アプリが裏で会話を文字起こしし、その内容を使って、メモを整った議事メモに仕上げます
手元の資料を理解プロジェクトのフォルダー、参考資料、図、カレンダーを指定すると、ファイルを手作業で整理しなくても内容を把握します。ローカルのフォルダーとGoogleドライブを接続できます
チャットで質問読み込んだ資料や会議の記録をもとに、会話形式で調べものや要約ができます
Live Assistance会議を聞きながら、話に出た質問へ自動で答えを示す機能。関連する資料が話題に出ると、出典つきの「コンテキストカード」を表示します
種類をまたいだ検索画像、文書、文字起こしなど種類の違う情報を、ふだんの言葉で探せます

対応する資料の形式は、PDF、Googleドキュメント、Microsoft Office形式、テキスト、Markdown、Webのブックマークと案内されています。資料にラベルを付けて分類し、数千ページ分を一瞬で検索できるとしています。

中身のAIは「EmbeddingGemma 2」と「Gemma 4」

Foresightを支えているのは、Googleのオープンモデル「Gemma」シリーズです。役割分担は「司書」と「解説者」にたとえるとわかりやすいでしょう。

  • EmbeddingGemma 2(司書):文章、画像、動画、音声を同じ“索引”に整理し、必要な情報をすばやく探し出すモデル。パラメーター数は7億4,000万と小型で、商用利用しやすいApache 2.0ライセンスで公開されています
  • Gemma 4(解説者):司書が探してきた資料を読み、質問への答えや文章をまとめる役割

Googleの公式ブログは、この2つを組み合わせることで、ファイルの検索から回答づくりまでを端末の中だけで完結できると説明しています。Google公式Xによれば、EmbeddingGemma 2が使うメモリーは約191MB〜567MBと軽量です。

公式Xで公開された紹介動画

Google公式Xでは、EmbeddingGemma 2がMac上のファイルを探し、Gemma 4がその内容をもとに答える「手元で完結するAI」のデモ動画が公開されています。Foresightの裏側の仕組みをイメージするのに役立ちます。

公式の紹介動画

Google for Developersの公式YouTubeチャンネルでは、Foresightの頭脳であるEmbeddingGemma 2の紹介動画が公開されています(Foresight単体の公式紹介動画は、執筆時点では見つかりませんでした)。

プライバシーとオフライン動作——会話も資料も外に出さない

公式サイトのよくある質問では、AIの処理は「100%端末上」で行われ、資料、会議の音声、メモがパソコンの外に出ることはなく、録音や文字起こしが外部のクラウドに送られることもないと明記されています。

さらに「完全にオフライン優先」で、AIモデルも検索の仕組みもMac上で動くため、出張中の機内や、ネットにつながらない環境でも使えるとしています。クラウドの月額料金がかからない点も、公式ブログが挙げるメリットの1つです。

取引先との価格交渉、人事面談、未発表の企画会議など、「AIで記録したいけれど、クラウドに上げるのは不安」という場面で検討しやすい設計といえます。

料金・動作環境・入手方法

項目内容
料金無料(公式ページから無料でダウンロードでき、料金の記載はありません。複数の海外メディアも無料と報道)
対応機種Apple Silicon(M1以降のチップ)搭載Macに最適化(公式FAQ)
macOSのバージョン・メモリー公式サイトに明記なし
位置づけ実験的なアプリ(experimental app)
入手方法公式ページ(developers.google.com/edge/foresight)の「Download for macOS」からインストーラー(dmg形式)をダウンロード。Mac App Storeでの配信は確認できませんでした
問い合わせ先ai-edge-support@google.com(公式ページ記載)

報道によると、初回起動時にAIモデルのダウンロードが必要で、会議音声を聞き取るためにマイクなどのアクセス許可を求められます。会社のMacで使う場合は、事前に情報システム担当者へ相談しておくと安心です。

会社のworkspaceでは、そのままでは試用できませんでした。

なお、日本語での文字起こしやメモ作成にどこまで対応しているかは、公式サイトでは明記されていません。日本語の会議で使う前に、短い打ち合わせで精度を確かめてから本格導入するのがおすすめです。

中小企業・個人事業主の使いどころ

  • 商談・打ち合わせのメモ係に:話に集中しながら「見積り再提出」「納期確認」と走り書きするだけで、後から整ったメモに
  • 社内資料の“生き字引”に:過去の提案書や規程のPDFを読み込ませ、会議中に「前回の条件は?」と聞かれたときにすぐ確認
  • 機密性の高い会議に:人事・財務・新商品の話など、クラウドに上げにくい内容の記録に
  • 移動中・ネット環境が不安定な場所で:オフラインでも資料検索や要約ができる

一方で、あくまで実験的なアプリです。AIが作ったメモや答えには誤りが混じる可能性があるため、重要な決定事項や数字は必ず人の目で確認しましょう。また、会議を記録する際は、相手に録音・文字起こしすることを伝えるのがマナーです。

Macで動かすローカルAIに興味がある方は、AI共創広場のMacで無料の文字起こし比較や、iPhoneをMacの外付けGPUのように使うBackburnerの記事もあわせてご覧ください。

まとめ

Google AI Edge Foresightは、「会議のメモ取り」と「資料の思い出し」をMacの中だけで完結させる、Googleの無料の実験アプリです。走り書きを清書してくれる書記と、手元の資料に詳しい司書が、外に情報を出さずに同席してくれるイメージです。

クラウド型のAI議事録ツールに抵抗があった職場でも試しやすい一方、日本語対応の程度や細かな動作条件はまだ公式に示されていません。Apple Silicon搭載のMacをお使いなら、まずは社内の短い打ち合わせで試し、精度と使い勝手を確かめてみてはいかがでしょうか。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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