Anthropicが、AI「Claude」の新しいアプリ「Claude Duet(クロード・デュエット)」を発表しました。こちらから話しかけるのを待つのではなく、Claudeのほうから「今日はこれを見てください」と声をかけてくれる、“先回りするAI秘書”のようなアプリです。
毎朝メールや予定表を見て大事なことをまとめて知らせ、頼まれた仕事はアプリを閉じたあともクラウド上で進め、メール送信や支払いといった大事な操作の前には必ず確認を求めます。Anthropicは、抱えている仕事が多すぎて把握しきれない「専門職の人や中小企業の経営者」向けに作ったと説明しています。
ただし今は米国限定のリサーチプレビュー(研究目的の先行版)です。この記事では、できること、使える人、始め方、ChatGPT・Geminiとの料金比較、中小企業での使いどころと注意点を整理します。
公式の紹介動画
Claudeの公式YouTubeチャンネルで公開された紹介動画「Introducing Claude Duet」です。動画の説明文では、Claude Duetは「必要なことを知らせに来てくれて、スマホを置いたあとも働き続けるアプリ」であり、何が急ぎで何が後回しでよいかを判断し、代わりに行動する前には確認する、と紹介されています(英語)。
Claude Duetとは——“話しかけられる前に動く”Claude
いつものClaudeアプリは、こちらがチャットを開いて質問すると答えてくれる「待っている」タイプです。一方のClaude Duetは、つないだアプリ(メール、カレンダー、会計ソフトなど)を定期的に見て回り、対応が必要なことがあれば自分から知らせてくる「先回りする」タイプです。公式の説明では、Claude Duetは「あなたのところへやって来る」と表現されています。
やり取りは、人にメッセージを送る感覚で、文字でも音声でも行えます。会話は1本のスレッドにまとまり、話題ごとに「チャンネル」を分けても同じ記憶を共有します。
頭脳には「Claude Opus 5.5」が使われ、何を今伝え、何を待たせ、いつ確認を取るかという“判断力”を重視したと説明されています。Opus 5.5については「Claude Opus 5.5発表——多くの作業でFable 5.1級、運用コストはOpus 5より約4割減」で詳しく紹介しています。
いつ発表され、誰が使えるのか
Claude Duetは、米国時間10月21日(水)に発表されました。Claude公式Xの発表ポストは日本時間10月22日(木)午前4時9分、公式YouTubeの紹介動画は同日午前4時35分ごろの公開です。提供条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供形態 | リサーチプレビュー(研究目的の先行版)。順番待ちリスト(ウェイトリスト)に登録し、招待が届いた人から使えます |
| 使えるプラン | Claude Pro・Max(個人向け有料プラン)。Team・Enterpriseは今のところ対象外で、今後対応予定とされています |
| 使える地域 | 米国のClaudeアカウントのみ(リサーチプレビュー期間中) |
| 追加料金 | リサーチプレビュー中は追加料金なし。Pro・Maxプランの利用上限の中で使います |
| 使える場所 | iPhone・Android向けの専用アプリ。パソコンではclaude.aiのWeb版から開けます |
| 使われるモデル | Claude Opus 5.5(モデルは選べません) |
| おまけ | 招待されると、5時間ごと・週ごとの利用上限を1回だけ満タンに戻せる「リセット」がもらえます(2026年11月30日まで有効) |
残念ながら、日本のアカウントでは現時点で使えません。日本での提供時期も公式には発表されていません。いまは「近いうちにこういう働き方が来る」と知っておき、準備を進めておく段階と考えるのがよいでしょう。
Claude Duetの仕組みとできること
Claude Duetは、ふだんのClaudeアカウントの記憶、スキル(仕事の手順書のようなもの)、接続済みのアプリをそのまま引き継ぎます。
作業は専用の「クラウド上のパソコン」で行われるため、スマホやパソコンを閉じても仕事は進みます。主な機能は次のとおりです。
- 朝のブリーフ(まとめ):毎朝メールと予定表から注意が必要なことを選び、返信の下書きも用意します
- 日中の見守り:数時間おきに接続先を確認し、必要なときだけ連絡。止まったやり取りも追いかけます
- 大きな仕事:調査レポート、資金の予測表、スライド、ダッシュボードなどを「Make」タブに仕上げます
- タスク管理:「Tasks」タブで進行中・判断待ちの仕事を確認。完了にできるのは本人だけです
- 6,000以上の接続先とプラグイン:Gmail、Googleカレンダー、Slack、QuickBooks、HubSpot、Docusignなど。中小企業向けプラグインもあります
- 専用ブラウザ:接続機能のないサイトはクラウド上のブラウザで操作します
ダッシュボード作りについては「Claude Dashboards登場——会社のデータに話しかけるだけで“自動更新の集計画面”を作るClaudeの新機能」もご覧ください。
始め方
公式ヘルプによると、使い始めるまでの流れは次のとおりです(米国のPro・Max利用者が対象)。
- Claude Duetの製品ページで「Join the waitlist(順番待ちに登録)」を選ぶ
- 名前とメールアドレスを入力する。すでにClaudeを使っている人は、Claudeアカウントと同じメールアドレスを入れる
- 利用中のプランとスマホの種類(iPhoneかAndroid)を選び、送信する
- 順番が来ると招待メールが届くので、スマホで開いて案内どおりに設定する
- Claude Duetアプリを開き、Claudeアカウントでサインインする
招待は順番に送られ、利用権は登録したメールアドレスにひも付きます。
公式ヘルプには、頼み方の例として「受信箱の読まなくていいメールを片付けて」「Stripeで未払いの請求書を確認して、承認用の催促メールを下書きして」「午後2時の打ち合わせの前に、この会社についての資料をまとめて」が挙げられています。
公式Xで公開された紹介動画
Claude公式X(@claudeai)でも、約1分40秒の動画付きで発表されました。ポストでは「Claudeが先回りするエージェントとして働く新しいアプリ」で、離れている間も働き、代わりに行動する前には確認する、と説明しています。
ChatGPT・Geminiの“任せるAI”と料金・提供条件を比較
先回りして裏で働くAIは、各社が力を入れている分野です。OpenAIは9月末に常時稼働エージェント「dots」を、Googleは「Gemini Spark」を改名した「Tasks in Gemini(タスク)」を提供しています。各社の公式料金ページ・ヘルプ(10月23日確認、米国向け表示・税別)をもとに比べると次のようになります。
| サービス・機能 | 対象の個人プランと月額 | 日本で使えるか | 提供状況 |
|---|---|---|---|
| Claude Duet(Anthropic) | Pro:20ドル(年払いなら月17ドル相当) Max 5x:100ドル Max 20x:200ドル ※Duet自体の追加料金なし | 使えない(米国のみ) | リサーチプレビュー。順番待ちで招待制 |
| dots(OpenAI・ChatGPT) | Pro 100:100ドル Pro 200:200ドル Pro 500:500ドル ※Free・Go・Plusは対象外。最初の1体はプランに含まれる | Proは欧州経済領域・英国・スイス以外が対象(18歳以上) | 順次提供中。Business Premium・Enterpriseにも展開 |
| Tasks in Gemini(Google) | Google AI Pro:19.99ドル Google AI Ultra:99.99ドル/199.99ドル | 使える(欧州経済領域・ナイジェリア・スイス・英国を除く) | 提供中。個人のGoogleアカウントのみ(仕事用・学校用は不可) |
表の料金は米ドル建て・税別の米国向け表示です。日本円での価格は、アプリストア経由かどうかや為替によって変わることがあるため、申し込み前に各社の日本向けページで確認してください。
入口の価格は、Claude DuetとTasks in Geminiが月20ドル前後、dotsは月100ドルからです。ただしClaude Duetは利用上限をチャットと共有し、裏での確認作業も上限を消費します。dotsについては「米OpenAIが常時稼働エージェント「dots」発表——クラウド専用PCで24時間、Teams・Slack対応」、Geminiについては「Gemini Sparkが日本解禁——24時間働くAIエージェント、できること・料金・注意点」で紹介しています。
日本の中小企業での使いどころ
日本ではまだ使えませんが、公式の例を日本の現場に置き換えると、次のような使い方が考えられます。
- 朝いちばんの「今日やること」整理:社長宛てのメールと予定を毎朝まとめてもらい、急ぎの返信だけ下書き付きで確認する
- 未入金の催促:StripeやQuickBooksで支払いが遅れている請求書を見つけ、催促メールの下書きを作ってもらう。送るのは自分が承認してから
- 商談前の下調べ:午後の打ち合わせ相手について、会社概要や最近の動きを短い資料にまとめてもらう
- 止まったやり取りの追いかけ:見積もりを出したまま返事のない顧客や、HubSpotでフォローが漏れている見込み客を知らせてもらう
- 契約・採用・集客の段取り:Docusignでの契約書の準備、承認後の求人投稿、Canvaを使ったSNS用の素材づくり、Shopifyでのネットショップ立ち上げなど
ただし公式例のQuickBooksやGusto(給与計算)は米国向けのサービスです。日本の会計ソフトへの対応や日本語での使い勝手は、日本提供時に確認が必要です。
安全面の仕組み
Claude Duetは、メッセージの送信、支払い、書類への署名、削除の前に必ず本人の承認を求めます。すぐ承認できないときは、ほかの作業を先に進め、あとで改めて確認してきます。
買い物はStripe LinkやShop Payで、購入ごとに使い捨てのカード番号を使います。パスワードはClaudeから見えない形で扱われ、Webページに仕込まれた悪意ある指示(プロンプトインジェクション)への対策もあります。
クレジットカード番号や公的な身分証番号を外に送ることは止められ、健康やお金の情報は本人が指示したときだけ共有されます。数字や要約には元のメールやファイルが出典として示されます。
使う前に知っておきたい注意点と制限
- 利用上限を消費する:裏での見守りも上限を使い、大きな仕事ほど多く減ります
- 急ぎの見落とし:数時間おきの確認なので、一刻を争う連絡の見張りには向きません
- ブラウザは見られない:作業の様子を見たり、操作を代わったりはできません
- できないこと:他人への電話やSMSはできません。株などの売買、口座間の送金、他人のアカウントへのアクセスは、承認しても行いません
- つながり方の制限:Slackは一部機能のみ、Microsoft 365は未対応。パソコン内のファイルも見られません
- 判断ミスはありうる:読み違いや緊急度の誤判断がありえます。チケット予約など私用の用事は苦手です
- アプリが別になっている:普段のClaudeアプリとは別のアプリです
まとめ
Claude Duetは、「AIに質問する」から「AIが知らせに来て、承認すれば片付けてくれる」へと使い方を進めるアプリです。人手の足りない中小企業ほど助かる場面が多そうです。
日本での提供時期は未定です。日本でも使えるdotsやTasks in Geminiで「AIに任せる感覚」をつかみ、上陸に備えておくのもひとつの手です。
参考リンク
- Claude:Introducing Claude Duet
- Claude:Claude Duet(製品ページ)
- Claudeヘルプセンター:Get started with Claude Duet
- Claude:Plans & Pricing
- Claudeヘルプセンター:What is the Max plan?
- Claude公式X:Claude Duetリサーチプレビューの発表ポスト
- YouTube(Claude公式):Introducing Claude Duet
- OpenAI:Introducing dots
- OpenAIヘルプセンター:dots in ChatGPT
- ChatGPT:ChatGPTの料金
- Gemini アプリ ヘルプ:Tasks in Gemini
- Google:Google AI のプラン


コメント