Anthropicが、AI「Claude」に新機能「Claude Dashboards(クロード・ダッシュボード)」を追加しました。会社のデータベースや顧客管理ツールにつなぎ、「今四半期の地域別売上をダッシュボードにして」と普通の言葉で頼むだけで、データが変わるたびに最新の状態に保たれるダッシュボード(数字を一覧できる“計器盤”のような画面)を作ってくれる機能です。
日本時間10月9日(金)午前4時ごろ、Claude公式Xが、説明アニメーションを作る「Claude Motion」とあわせてベータ版(試験提供)として発表しました。Claude Motionについては、別記事「Claude Motion登場——報告書やグラフを“動く説明動画”に変えるClaudeの新機能」で詳しく紹介しています。
この記事ではダッシュボード機能に絞って、何ができるのか、どんなデータにつながるのか、使えるプラン、始め方、共有や管理の設定、注意点、そして中小企業や個人事業主の現場での使いどころを、専門知識がなくてもわかるように整理します。
公式の紹介動画
Claudeの公式YouTubeチャンネルで公開された紹介動画「Introducing Claude Dashboards and Claude Motion」です。DashboardsとMotionの使い方が紹介されています(英語)。
Claude Dashboardsとは——質問するだけで「自動更新の集計画面」ができる
これまで、社内のデータについて「先週の申込数は先月と比べてどう?」と知りたいときは、情報システム担当に依頼を出すか、SQL(データベースから数字を取り出すための専用の命令文)を自分で書く必要がありました。そのため、答えが出るまで待つか、あきらめてしまうことも少なくありませんでした。
Claude Dashboardsでは、データをつないだうえで知りたいことを日本語の文章で頼むと、Claudeが裏側でSQLを書いて実行し、グラフや数字の並んだダッシュボードを組み立てます。いわば「データの読み方を知っているデジタル部下」に、集計表づくりを頼むイメージです。
公式発表によると、作ったダッシュボードはデータの変化に合わせて最新の状態に保たれます。また、各グラフには「そのデータがいつ最後に更新されたか」が表示されるので、古い数字のまま会議に出してしまう心配を減らせます。
「その数字、どうやって出したの?」がすぐ確認できる
AIが出した数字で気になるのは、「本当に合っているのか」という点です。Claude Dashboardsでは、ダッシュボード上の数字をクリックすると、その数字を出すために使われたクエリ(集計の手順書)を確認できます。手順書の意味がわからなければ、Claudeに説明を頼むこともできます。
公式ヘルプでは、集計の中身が意図と違っていたら、Claudeに直してほしい点を伝えるよう案内しています。料理で言えば、完成した料理だけでなく「レシピ」も一緒に出てくるので、味が違えばレシピのどこを変えるかを指示できる、という仕組みです。
つながるデータとツール
ダッシュボードの材料となるデータは、大きく2種類です。
- データ基盤(データウェアハウス):Amazon Redshift、BigQuery、ClickHouse、Databricks、Snowflakeなど、会社のデータを大量にためておく“倉庫”
- Claudeに接続済みのほかのアプリ:たとえばSalesforce(顧客管理ツール)の商談データをダッシュボードにする、といった使い方
また、ダッシュボードはBI(経営分析)ツールの代わりではなく、「一緒に使う」ものと位置づけられています。より深い分析が必要になったら、ダッシュボードをAmplitude、Grafana、Hex、Mixpanel、Omni、Perplexity、PostHog、Sigmaへ送り、そちらで分析を続けられます。Looker、monday.com、Tableauにも今後対応予定とされています。
使えるプランと料金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供形態 | ベータ版(試験提供) |
| 使えるプラン | Pro、Max、Team、Enterpriseの有料プラン(無料のFreeプランは対象外) |
| 追加料金 | 専用の追加料金の案内はなし。Claudeのほかの作業と同じく、各プランの利用上限の中で消費されます |
| 個人向け料金の目安 | Proは月20ドル(年払いなら月17ドル相当)、Maxは月100ドルから(税別、公式料金ページより) |
| Enterpriseの初期設定 | 初期状態ではオフ。オーナーが「組織設定>Artifacts(アーティファクト)」でオンにします |
| 作ったもの | Claudeの「Artifacts」タブに保存されます |
なお、同時に発表されたClaude Motionは、TeamとEnterpriseプランのみが対象です。ダッシュボードは個人向けのProプランからでも試せる点が違います。
始め方は3通り
公式ヘルプによると、まず使いたいデータ(データ基盤や、Salesforceなどのアプリ)をClaudeに接続します。そのうえで、次のいずれかの方法でダッシュボードを作ります。
- チャットでそのまま頼む(例:「今四半期の地域別売上のダッシュボードを作って」「過去6か月の週ごとの申込数を、プラン別に表示して」)
- メッセージ入力欄の「Output」から「Dashboards」を選ぶ
- 「Artifacts」タブでDashboardsのテンプレートを選び、作りたいダッシュボードを説明する
上手に頼むコツとして、公式ヘルプは「何をグラフにしたいか」ではなく「何を知りたいか」を伝えるよう勧めています。「申込数のグラフ」より「今月のチャネル別申込数は先月と比べてどう?」のほうが目的に合ったものになりやすく、データが特定の表やアプリにあるなら、その名前も添えるとよいそうです。
できあがった後も、「地域で絞り込めるようにして」「週単位の表示に変えて」とチャットで頼めば修正できます。
共有と管理者向けの設定
作ったダッシュボードは、最初は自分だけが見られる状態です。共有したいときは、ダッシュボードを開いて「Share(共有)」をクリックします。公式発表によると、チームとClaudeが同じダッシュボードを一緒に編集することもできます。
組織外への共有については、管理者が許可している場合に、社外の人やリンクを知っている人と共有できます。ただし管理者向けガイドによると、接続したアプリのデータを使う成果物は「リンクを知っている全員」への公開には使えません。会社のデータを扱うダッシュボードが、うっかりネット上に公開されにくい設計になっていると言えます。
TeamやEnterpriseプランの管理者(オーナー)は、「組織設定>Artifacts」でダッシュボード機能のオン・オフを切り替えられます。Enterpriseプランでは初期状態がオフで、カスタムロール(役割ごとの権限設定)を使って特定の部署やグループだけに使わせることも可能です。社外共有は「外部共有」と「社外へのメール招待」の2つの設定で別々に管理されます。
データの扱いと注意点
会社のデータを扱う以上、使い始める前に次の点を確認しておきましょう。
- ベータ版であること:公式は「素早い探索的な質問」に向いていると説明しています。経営判断に使う重要な数字は、クエリを確認し、既存の帳票と照らし合わせるのが安全です
- 利用上限:ダッシュボードの作成もプランの利用上限にカウントされます
- 医療情報など:HIPAA(米国の医療情報保護の規則)対応構成の組織でも、ダッシュボードなどの機能は事業提携契約(BAA)の対象外とされ、保護対象の医療情報を入れないよう案内されています
- 暗号化キーの管理:成果物(Artifacts)は、企業が自社で暗号化キーを管理するCMEKにも対応したと発表されています
- 利用できる場所:成果物はClaudeのWeb版・デスクトップ版などで利用でき、他社のクラウド基盤経由では提供されていません
日本向けの個別の発表や、日本語での利用に関する特別な案内は、今回の公式情報には見当たりませんでした。日本語での指示がどこまで正確に反映されるかは、実際に小さく試して確かめるのがおすすめです。
ビジネスでの使いどころ
データ基盤と聞くと大企業向けに思えますが、Salesforceのように普段使っている業務アプリとつながる点がポイントです。たとえば次のような使い方が考えられます。
- 営業会議の準備:担当者別・段階別の商談一覧をダッシュボードにして、毎週の会議前に開くだけにする
- 売上の定点観測:地域別・商品別の売上を、最終更新時刻つきで確認する
- キャンペーンの効果確認:「今週の申込数は先月と比べてどう?」といった、ちょっとした疑問をその場で数字にする
- 社内の“集計待ち”を減らす:担当者に依頼して数日待っていた集計を、自分で頼んで最初の形を作る
一方で、AIに丸投げするのではなく、「数字の出し方(クエリ)を確認する」「重要な数字は人が最終チェックする」という役割分担が大切です。発表でも、Claudeが最初の版を作り、何を共有するかは人が決める、という考え方が示されています。
まとめ
Claude Dashboardsは、会社のデータに「普通の言葉で質問するだけ」で、自動で最新に保たれる集計画面を作ってくれる新機能です。各グラフに集計の手順と更新時刻が表示されるため、AIの出した数字を確かめながら使えるのが大きな特徴です。Proプラン以上の有料プランでベータ提供されており、Enterpriseでは管理者がオンにする必要があります。
まずは、いつも誰かに頼んで待っている集計を一つ選び、小さく試してみるのがおすすめです。説明アニメーションを作るClaude Motionについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
公式Xで公開された紹介動画
Claude公式Xは日本時間10月9日(金)午前4時ごろ、約1分20秒の紹介動画つきでClaude DashboardsとClaude Motionの公開を発表しました。
参考リンク
- Claude:Build live dashboards and animate explainers with Claude
- Claude Help Center:Get started with Claude Dashboards
- Claude Help Center:Artifacts admin guide for Team and Enterprise plans
- Claude:Pricing
- Claude公式X:Claude Dashboards and Claude Motion are in beta today
- Claude公式X:With Claude Dashboards, connect a data platform or CRM tool…
- YouTube(Claude公式):Introducing Claude Dashboards and Claude Motion
- AI共創広場:Claude Motion登場——報告書やグラフを“動く説明動画”に変えるClaudeの新機能

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