Codex「28日間の改善」22日目は新モデル「GPT-6.1 Terra」——画面を見てアプリを操作、Solの2倍使えてAPI料金も半額

コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏の「28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束は、22日目を迎えました。20日目・21日目と2日続けてリセットが続いたあとの22日目は、一転して大きな改善の日に。新しいAIモデル「GPT-6.1 Terra(テラ)」が登場しました。画面に映っているものを読み取ってアプリを操作する力と、自然で読みやすい文章が売りで、しかも料金は安く、同じプランでもたくさん使えるモデルです。何ができるのか、誰が使えるのか、料金やベンチマーク(性能テスト)の数字、そして中小企業や個人事業主にとっての使いどころを整理します。

宣言そのものは「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事、前日の21日目は2日連続のフルリセットになった日の記事、同じモデルファミリーの「GPT-6.1 Sol」の高速版が出た4日目は指示の即反映とUltrafastを紹介した記事で取り上げています。

22日目は「Terraが帰ってきた!」

「Day 22/」の投稿は、日本時間10月27日午前4時24分ごろでした(米国西海岸では10月26日正午すぎ)。その約1時間20分前、日本時間午前3時6分ごろにOpenAIの公式アカウントが「GPT-6.1 Terra」を発表しており、ソティオ氏はその発表を引用する形で22日目を宣言しています。

本文を日本語にすると「22日目。Terraが帰ってきた! 文章、個性、そして依頼の細かいニュアンスを理解する力が大きく向上した、私たちにとって初めてのモデルです。あらゆる面で実力があり、コンピューター操作がとても得意で、APIでもサブスクリプションでも6.1 Solの2倍の量を使えます」。「帰ってきた」というのは、以前の「GPT-5.6 Terra」の後継が、新しい世代として戻ってきたという意味合いとみられます。今回の投稿にリセットの話は含まれておらず、22日目は“改善の日”です。

OpenAIのモデルには、宇宙にちなんだ名前の4つのクラスがあります。いちばん賢い「Astra(星々)」、それに近い賢さを5分の1の価格で出す「Sol(太陽)」、日常の大量の作業を安く速くこなす「Luna(月)」、そしてその間でバランスを取るのが「Terra(地球)」です。たとえるなら、Astraが難しい案件を任せるベテラン専門家、Terraは事務作業もパソコン操作もそつなくこなす頼れる中堅スタッフ、といったところです。

GPT-6.1 Terraは何が得意?

OpenAIの発表によると、GPT-6.1 Terraは「画面に何が映っているかを理解し、アプリをまたいで操作し、自然な文章を書く」ことに力を入れたモデルです。前の世代のGPT-5.6 Terraから大きく進歩し、日々の仕事を埋めている“コミュニケーション”と“パソコン作業”をこなせるとしています。

  • 画面を見て理解する力(視覚的な推論):商品写真とカタログの照合、図面や技術資料の読み取りなど
  • パソコン操作(コンピューター操作):フォームへの入力、アプリの画面上での操作、動画編集など。届いた請求書を読んで会計ソフトに入力する、といった大量の定型作業の自動化が例に挙げられています
  • 自然な文章:提案書の下書きや文章の推敲。ソティオ氏は「文章、個性、依頼のニュアンスの理解」が大きく良くなったと強調しています
  • 速さと効率:同じ仕事をGPT-6 AstraやGPT-6.1 Solの3倍以上の速さで終えるとされています

一方でOpenAIは、本格的な調査や複雑なプログラミングには、引き続きGPT-6.1 SolやGPT-6 Astraを選ぶよう案内しています。Terraは“なんでも最強”ではなく、“速くて安く、日常業務に強い”モデルという位置づけです。

公式の紹介動画

OpenAIの公式YouTubeチャンネルでは、日本時間10月27日午前3時12分ごろに約30秒の紹介動画「GPT-6.1 Terra is now in orbit(GPT-6.1 Terraが軌道に乗りました)」が公開されました。同じ動画は公式Xでも発表と同時に投稿されています。

公式Xで公開された紹介動画

OpenAIの公式Xでは、発表のスレッドで約2分の動画も公開されました。Astra(銀河)、Sol(太陽)、Terra(地球)、Luna(月)の4つのモデルが料金とともにカードで並び、Terraの立ち位置がひと目でわかる内容です。

OpenAIのサム・アルトマンCEOも日本時間午前5時37分ごろに「6.1 Terraが来た!」と投稿し、「コンピューター操作の新しい時代に特にわくわくしている」とコメントしました。

誰がどこで使える?

OpenAIの発表とCodexの公式の更新履歴(changelog)をもとにまとめると、次のとおりです。

項目内容
ChatGPT Work・CodexPlus、Pro、Enterprise、Eduで提供開始(更新履歴ではBusinessも対象)。Enterpriseは管理者の設定しだい
選び方ChatGPTデスクトップアプリやウェブ版ChatGPT Workのモデル一覧(詳細設定)から選ぶ。Workはスマホアプリでも利用可
通常のChatGPTのチャット対象外(Work・Codex向け)
無料プラン・Go未発表(対象プランに含まれていない)
APIモデル名「gpt-6.1-terra」で利用可能
使える量同じ利用枠で、GPT-5.6 Terraより多く、GPT-6.1 SolやGPT-6 Astraよりかなり多くの作業ができる(ソティオ氏は「6.1 Solの2倍」)

利用枠を「プリペイドカードの残高」にたとえると、Terraは1回あたりの“運賃”が安いので、同じ残高でより遠くまで行けるイメージです。日本での提供について特別な制限は示されていませんが、実際にモデル一覧に表示されるかは、段階的な提供状況によって異なる可能性があります。Codexのコマンドライン版(CLI)でのモデル名の表示や必要なバージョンについては、執筆時点で公式の案内は見当たらず、未発表です(CLIの最新正式版は10月23日公開の0.164.0のまま)。

料金——API料金はSolの半額

APIの標準料金は、100万トークン(トークンは文字数のような単位)あたり、入力1ドル、キャッシュ済みの入力0.05ドル、出力5ドルです。前の世代のGPT-5.6 Terraや、GPT-6.1 Solの半額にあたります。公式動画で示された4つのモデルの料金を並べると、次のとおりです。

モデル位置づけ入力キャッシュ済み入力出力
GPT-6 Astra最も賢いモデル10ドル1ドル50ドル
GPT-6.1 SolAstraに近い賢さを5分の1の価格で2ドル0.10ドル10ドル
GPT-6.1 Terra賢さとコストのバランス型1ドル0.05ドル5ドル
GPT-6 Luna大量の日常作業を速く安く0.10ドル0.01ドル0.50ドル

料金はいずれも100万トークンあたり(OpenAI公式動画より)。モデルの説明ページによると、Terraは一度に約105万トークン(文庫本なら数十冊分)の情報を扱え、出力は最大12.8万トークン、知識は2026年6月1日時点までです。考える深さ(推論の強さ)は「なし」から「最大」まで6段階で選べます。なお、27万2,000トークンを超える長い入力では入力料金が2倍・出力料金が1.5倍になり、まとめて処理するBatchなどは半額、速さ優先のFastモードは2倍になります。

ベンチマーク——前の世代のTerraから大きく前進

OpenAIは、仕事に近い課題でコンピューター操作の力をはかる「Agents’ Last Exam」で、Terraを中程度の考える深さで使うと、GPT-5.6 Terraより15ポイント高いスコアを約3分の1のコストで出し、トークンあたり10分の1の価格で最上位のGPT-6 Astraと同等の成績だったと発表しています。考える深さを最大にした場合は、AnthropicのClaude Opus 5.5と比べてトークンの使い方が3倍以上効率的で、トークン単価は4分の1、1件あたりのコストは約9分の1としています。

具体的な数値が公表されている項目を、前の世代のGPT-5.6 Terraと比べると次のとおりです。

テストGPT-6.1 TerraGPT-5.6 Terra
Terminal-Bench 4.0(コマンド操作の課題、考える深さ最大、高いほど良い)★ 50.3%21.5%
間違いを誘いやすい質問での誤答率(考える深さ「低」、低いほど良い)★ 16.7%53.6%
間違いを誘いやすい質問での誤答率(考える深さ「最大」、低いほど良い)★ 4.3%22.3%

★と色付きは各テストの1位です(数値はOpenAI発表)。

誤答率は、OpenAIが社内で用意した“ひっかけ”のような質問での結果で、最大設定ではGPT-6.1 SolやGPT-6 Astraとほぼ並ぶ水準とされています。このほか、画像を含む問題を解くMMMU-Proではすべての設定でGPT-5.6 Terraを上回り、パソコン操作のテストOSWorld 2.1では中程度の設定でもGPT-5.6 Terraの最高スコアを超えたとしています。また、安全面では、OpenAIの安全評価の枠組み(Preparedness Framework)でサイバーセキュリティの能力が「Critical(重大)」の基準に達したため、GPT-6 Astra向けに作った保護策をそのまま引き継いでいると説明しています。作業中に紛れ込んだ悪意ある指示に従ってしまう「プロンプトインジェクション」への耐性も高かったとしています。数値はいずれもOpenAI自身の発表で、第三者による検証はこれからです。

22日間の流れ——改善13回、全員向けリセット10回

22日目は改善の日なので、改善は13回目、全員向けのリセットは10回のまま。宣言は残り6日です。OpenAI開発者コミュニティで宣言の進み具合をまとめているスレッドは、執筆時点ではまだ「Day 21」の表記のままでした。

項目22日目終了時点
明確な改善の日13回
全員向けのフルリセット10回(2・6・8・10・13・15・17・18・20・21日目)
残りの日数6日

21日目にソティオ氏が書いた「残りの7日間で何が起きるのか」という意味深なひと言は、さっそく新モデルという形で答えが出た格好です。22日目の投稿は執筆時点で表示回数が40万回を超え、返信も1,000件以上。OpenAIの開発者向け公式アカウントは、Terraを使って3Dソフトを操作する利用者のデモ動画なども相次いで紹介しています。

ビジネス利用者にとっての意味

22日目の内容を仕事に生かすなら、次の点を押さえておくとよさそうです。

  • 請求書の転記、フォーム入力、写真と商品台帳の照合など、“画面を見て手で入力する”定型作業は、Terraを試す最初の候補。まずは少量で、結果を人が確認する形から始める
  • ChatGPT WorkやCodexでは、同じ利用枠でSolより多く使えるため、日常の文章作成や資料整理はTerra、難しい調査や大きなプログラム開発はSolやAstra、と使い分けると利用枠を節約できる
  • APIで自社の仕組みに組み込んでいる場合は、Solから切り替えるだけで料金が半分になる可能性がある。ただし品質が業務に足りるか、自社のデータで比べてから判断する
  • パソコンを操作させる使い方は便利な反面、誤操作のリスクもある。支払い・送信・削除のような取り返しのつかない操作は、必ず人の承認をはさむ設定にしておく
  • 無料プランやGoプランでの提供は未発表。社内で使うなら、どのプランの誰が使えるのか、Enterpriseなら管理者設定で有効になっているかを確認する
  • 宣言は残り6日。最後の1週間にさらに大きな発表が続く可能性もあるため、利用中のプランや料金に関わる変更がないか引き続き確認しておく

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善かフルリセット」宣言の22日目は、日本時間10月27日午前4時24分ごろの「Terraが帰ってきた!」という投稿で、新モデル「GPT-6.1 Terra」の登場となりました。画面を読み取ってアプリを操作する力と自然な文章が強みで、API料金はGPT-6.1 Solの半額、ChatGPT WorkやCodexでは同じ利用枠でSolの約2倍使えます。これで改善は13回、全員向けのリセットは10回、残りは6日です。“安くて速い中堅スタッフ”が加わったことで、日々の事務作業をAIに任せる選択肢が一段と広がりました。最後の1週間に何が起きるのか、引き続き追いかけます。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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