Codex「28日間の改善」17日目はまたフルリセット——あわせて“事故の前に”セキュリティ向け「Daybreak Blue」の申請を呼びかけ

Codex Day 17 コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏が続けている「28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束は、17日目を迎えました。結果は、またしてもフルリセットです。ただし今回は、リセットの知らせとあわせて、セキュリティ対策向けの特別な利用枠「Daybreak Blue(デイブレイク・ブルー)」を“事故が起きる前に”申請しておくよう呼びかけました。リセットの中身と、Daybreak Blueとは何か、中小企業や個人事業主にとってどう関係するのかを整理します。

宣言そのものは「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事、直前の15〜16日目はフルリセットと12時間キャッシュを紹介した記事で取り上げています。

17日目は「忘れたと思った?」——またフルリセット

「Day 17/」の投稿は、日本時間10月22日午後3時55分ごろでした。16日目の発表が午前10時ごろだったのに比べるとかなり遅く、米国西海岸ではもうすぐ日付が変わる時間帯です。

日本語にすると、おおよそ次のとおりです。「17日目。忘れたと思ったでしょう? でも違います、今日はリセットの日です。それと、いい機会なのでDaybreak Blueのアクセスを取っておくよう改めてお勧めします。15分しかかかりませんし、インシデント(セキュリティ事故)の最中にやる羽目にはなりたくないはずです」。

ソティオ氏はこの約30秒後、自分の投稿に「明日の太平洋時間午前10時までに反映(Lands tomorrow before 10am PST)」と書き足しています。投稿は米西海岸の10月21日深夜だったため、文字どおりに読めば日本時間10月23日の未明(午前2〜3時ごろ)までに反映される計算ですが、正確な時刻は書かれていません。

リセットとは、使いすぎで上限に近づいていた利用枠(決められた期間に使える量)を、いったん満タンに戻すことです。今回の投稿には、どのプランが対象かといった細かい条件は書かれていません。これまでのリセットと同じく、CodexやChatGPT Workの利用者向けとみられます。上限が気になって大きな作業を控えていた人は、反映後に進めるとよいでしょう。

17日間の流れ——改善11回、全員向けリセット7回

OpenAI開発者コミュニティで宣言の進み具合をまとめているスレッドでも、17日目は「Day 17: It’s a reset(リセット)」と記録されました。全員向けのリセットは、2日目、6日目、8日目、10日目、13日目、15日目に続いて7回目です。明確な改善の日は16日目までの11回のままで、宣言は残り11日となりました。

ここ数日は、15日目のリセット、16日目のキャッシュの改善(前回の記事)、そして17日目のリセットと、「使える量」に関わる話題が続いています。13日目にも、フランス語風の「Le limit reset」でリセットがありました(13日目の記事)。

Daybreak Blueとは?——守る側のための“セキュリティ専用の通行証”

「Daybreak(デイブレイク)」は、OpenAIのサイバーセキュリティ向けの取り組みの名前です。OpenAIの公式ヘルプによると、その中の「Daybreak Access」は、審査を通った企業やセキュリティ担当者が、正当な防御の仕事でAIをより使いやすくするための仕組みです。アクセスの段階として「Daybreak Blue」と「Daybreak Red」の2つがあります。

ふだんのAIは、悪用を防ぐため、ウイルスの分析や弱点(脆弱性)の調べ方といったセキュリティの話題で、答えを控えることがあります。守る側にとっては、それが仕事の妨げになる場面もあります。Daybreak Blueは、本人確認などを済ませた人に限って、こうした“断られすぎ”を減らす仕組みです。たとえるなら、ビルの警備員に渡される“立ち入り許可証”のようなものです。誰でも入れるわけではありませんが、確認を受けた人は、点検に必要な場所まで入れるようになります。

公式ヘルプで示されている主な違いは、次のとおりです。

区分内容主な使いみち
通常の利用GPT-6 SolやAstraなどを、標準の安全対策のまま使う安全なソフト開発、コードの見直し、一般的な防御
Daybreak BlueGPT-5.5、GPT-5.6 Sol、GPT-6 Sol、GPT-6 Lunaで“断られすぎ”を減らす。GPT-6.1 SolとAstraは標準のまま。セキュリティ専用モデルは使えない弱点の仕分け、コードの安全確認、ウイルスの分析、検知ルールづくり、インシデント対応、修正の確認
Daybreak RedGPT-5.5-Cyberなどのセキュリティ専用モデルも使える。別の審査とより厳しい確認が必要許可を得た侵入テスト、攻撃の再現による検証など

公式ヘルプは、Daybreak Blueを「ほとんどのセキュリティチームにとっての出発点」と位置づけています。一方で、Daybreak Redは今のところ審査を通った企業・組織向けで、個人は申請できません。また、承認されてもすべての安全対策がなくなるわけではなく、使えるのは自分が所有しているか、調べる許可をはっきり得ているシステムに限られます。お客さま向けのサービスに組み込んだり、ほかの人に使わせたりすることもできません。

なぜ「事故の前に」なのか——申請には本人確認と専用の鍵が必要

ソティオ氏は10月19日にも、OpenCode(オープンコード)というAIコーディングツールの利用者が巻き込まれた攻撃への対応を報告した投稿で、「Daybreak Blueのアクセスを申請すれば、防御のために、サイバー分野で制限をゆるめた私たちの設定を使えます。インシデントに対処しなければならなくなるまで待たないでください」と書いていました。17日目の呼びかけは、その念押しといえます。

「事故の前に」が大事なのは、申請にいくつか準備が必要だからです。公式ヘルプによると、個人で申し込む場合の主な流れは次のとおりです。

  • chatgpt.com/cyber にサインインし、「Set up Daybreak」から手続きを始める
  • 対象となる有料プランを使っていることが条件。18歳以上であることも必要
  • 「Advanced Account Security(高度なアカウント保護)」を設定し、安全なサインイン方法を2つ以上登録する。そのうち少なくとも1つは、USBなどで挿す物理的なセキュリティキー(FIDO2対応のハードウェアキー)が必要
  • 本人確認を済ませ、Daybreakで使うハードウェアキーを登録する
  • 審査結果を確認する(手続きを終えても、承認は保証されない)

注意したいのは、高度なアカウント保護を有効にすると、パスワードでのサインインや、メール・SMSで届く確認コード、通常のメールでのアカウント復旧が使えなくなることです。復旧用のキーをなくすと、アカウントに戻れなくなるおそれもあります。予備のハードウェアキーと復旧用キーを、安全な場所に保管しておく必要があります。ソティオ氏は9月30日にも、個人のDaybreak Blue利用者には10月1日からハードウェアキーが必要になると告知していました。

ソティオ氏は「15分しかかからない」としていますが、それはハードウェアキーなどの準備が整っている場合の話と考えられます。公式ヘルプは「承認は自動ではない」と明記しており、OpenAI開発者コミュニティにも、本人確認がうまく進まないという相談が寄せられています。だからこそ、困ってから慌てるのではなく、平時に済ませておくのが安心です。

組織として申し込む場合は、別の申請窓口があります。承認されても初期設定は「オフ」で、ワークスペースの管理者が、対象の社員やグループにだけ有効にする仕組みです。承認後の使い方は、Codexアプリならモデル選択画面の詳細設定(Advanced)にある「Daybreak」のスイッチをオンにし、Codex CLIなら「/daybreak」と入力します。スイッチがオフのままの依頼は、通常の安全対策で扱われます。

公式Xで公開された紹介動画

OpenAIの公式Xは9月30日(日本時間)、Codexのセキュリティ機能「Codex Security Cloud」の大型アップデートを短い動画で紹介しています。Daybreak Blueを通じたサイバー対応のモデルが標準で使えるようになり、GitHub上のコード全体の点検、新しい変更の継続的な確認、見つかった問題の調査と重複の整理、修正案の準備までを、パソコンを閉じている間も進めてくれるという内容です。CodexのデスクトップアプリとWeb版のプラグインとして提供されています。

公式の紹介動画

OpenAIの公式YouTubeチャンネルでは、セキュリティ企業のSophos(ソフォス)がDaybreakを活用した事例を紹介しています。OpenAIの事例ページによると、Daybreakを通じて作ったAIエージェントを使う案件では、平均の対応時間が約38分から約89秒に縮まり、調査時間は96%減りました。同社の監視・対応サービスの案件の52%を、AIが最初から最後まで処理しているといいます。ただし、システムに大きな影響を与えうる対応には、引き続き人の判断を挟んでいます。

この事例は大企業のセキュリティ専門チームのもので、個人向けのDaybreak Blueとは使い方の規模が異なります。それでも、「AIに下調べをまとめさせ、最終判断は人がする」という役割分担は、規模を問わず参考になります。

ビジネス利用者にとっての意味

17日目の内容を仕事に生かすなら、次の点を押さえておくとよさそうです。

  • 利用枠が残り少なかった人は、リセットの反映(日本時間10月23日未明が目安)を待ってから、大きな作業を進める
  • 自社のシステムやWebサイトの安全確認、怪しいメールやファイルの分析をAIに手伝わせたい人は、Daybreak Blueを平時に申請しておく。個人の場合は対象の有料プランと物理的なハードウェアキーが必要
  • 高度なアカウント保護を有効にすると、パスワードやメールでの復旧が使えなくなる。予備のキーと復旧用キーの保管場所を先に決めておく
  • Daybreakで調べてよいのは、自社のシステムや、調べる許可をはっきり得たものだけ。取引先やお客さまのシステムを、許可なく調べることはできない
  • セキュリティ対策を外部の業者に任せている場合は、その業者がDaybreakのようなAIの仕組みを使っているか、どこまで人が確認しているかを聞いてみるのもよい

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善かフルリセット」宣言の17日目は、日本時間10月22日午後3時55分ごろの発表で、またもフルリセットになりました。ソティオ氏の書き込みどおりなら、日本時間10月23日の未明までに反映される見込みです。全員向けのリセットはこれで7回目、改善の日は11回で、残りは11日です。あわせてソティオ氏は、守る側のためのセキュリティ向けの利用枠「Daybreak Blue」を、事故が起きる前に申請しておくよう呼びかけました。申請には有料プラン、本人確認、物理的なハードウェアキーなどが必要で、承認も自動ではありません。社内のセキュリティにAIを役立てたい人は、時間に余裕のあるうちに準備しておくのがおすすめです。残り11日も引き続き追いかけます。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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