Codex「28日間の改善」12日目は同じプランで使える量が実質アップ——AIの“読み直し”を減らす工夫、GPT-6 Astra Proも強化

コラム

OpenAIでCodexとChatGPTを率いるティボー・ソティオ(Thibault Sottiaux)氏が続ける「28日間、毎日ひとつ明確な改善を出す。出せない日はフルリセット」という公開の約束。“満席エラー”を大幅に減らした11日目に続き、12日目も改善の日でした。今回は、CodexとChatGPT Workで、同じプランのまま実際にこなせる作業の量(実質的な利用量)が増える改善です。AIが同じ資料を何度も読み直すムダを減らすことで実現したといいます。あわせて、ChatGPTの最上位モデル「GPT-6 Astra Pro」の強化と、常時働くAIエージェント「dots」のホーム画面ウィジェットも紹介されました。ビジネスで使う人向けに整理します。

宣言そのものは「毎日改善、できない日はフルリセット」宣言の解説記事、直前の11日目は“満席エラー”を大幅に減らした11日目の記事で紹介しています。

12日目は「実質的に使える量」を増やす改善

「Day 12/」の投稿は、日本時間10月17日午前8時55分ごろ。ソティオ氏のXに次のように投稿されました。

内容を日本語にすると、おおよそ次のとおりです。「CodexとWork(ChatGPT Work)で、実質的に使える量が増える改善を行いました。サブエージェント(作業を手分けする補助役のAI)どうしで文脈を使い回すこと、文脈をより長くキャッシュ(一時保存)しておくこと、そしてキャッシュが当たる割合を高められるよう、リクエストの振り分け方を改善したことで実現しました」。

ソティオ氏は続けて、「Pro利用者全員に向けてGPT-6 Proも大幅に改善した」「アプリを更新して、この“逸品”も楽しんでほしい」と2つの話題を返信でつなげています。前日の午後には「アイデアが尽きたのか、それとも何か仕込んでいるのか。いずれわかる」と意味深に投稿しており、12日目は3本立てでの登場となりました。

“読み直し”を減らすと、なぜ使える量が増えるのか

AIは仕事を頼まれるたびに、それまでの会話や資料(文脈)を頭から読み込んでから作業します。キャッシュとは、一度読んだ資料を机の上に広げたままにしておく仕組みのようなものです。広げたままなら、次に頼まれたときに書庫から出して読み直す手間が省けます。この“読み直し”もAIの処理であり、プランの利用枠を少しずつ消費しています。つまり、読み直しが減れば、同じ利用枠でより多くの作業を進められるわけです。

今回の3つの工夫を、オフィスの仕事に例えると次のようになります。

  • サブエージェント間で文脈を使い回す:手分けして作業する部下ごとに同じ資料を一から読ませるのではなく、共有の資料棚から使い回す
  • キャッシュを長く保つ:机に広げた資料を、少し席を外したくらいでは片付けないようにする
  • リクエストの振り分けを改善:前回と同じ、資料がすでに手元にある担当者に仕事が回りやすくする

利用者側の設定変更は不要で、裏側の仕組みが変わるタイプの改善です。ただし、どのくらい使える量が増えたのかという数字や、対象となるプランごとの違いは投稿には書かれていません。使い方によって効果の大きさは変わりそうです。たとえば、同じ案件で長くやりとりを続ける場合や、作業を補助役のAIに手分けさせる場合ほど、効果を感じやすいと考えられます。

ChatGPTのGPT-6 Astra Proも強化——複数のAIが手分けして作業

ソティオ氏が「あわせて大幅に改善した」と紹介したのは、OpenAI公式Xが日本時間10月17日午前5時ごろに発表したGPT-6 Astra Proの更新です(最初は「GPT-6 Pro」と書かれ、約30分後に「GPT-6 Astra Pro」と名前を直して投稿し直されています)。発表によると、ChatGPTのGPT-6 Astra Proは応答が速くなり、プラグインやツールの使い方もうまくなりました。

さらに、ひとつの仕事を複数のエージェントが分担して同時に進められるようになりました。それぞれのエージェントの進み具合を確認でき、終わった作業を開いて中身を確かめることもできます。チームで仕事を割り振り、各自の進捗を見ながら最後に成果物をチェックする、という進め方に近いイメージです。提供対象はProプランの利用者で、ChatGPTの「Chat」タブから使えます。OpenAI開発者コミュニティで宣言の進み具合をまとめているスレッドでは、12日目は「Upgraded GPT-6 Astra Pro」として記録されています。

dotsがホーム画面に——iPhoneのウィジェットとアクションボタンに対応

3つ目の話題は、5日目にスマホのChatGPTアプリだけで作れるようになった常時稼働のAIエージェント「dots(ドッツ)」です。ソティオ氏は、ギャビン・ネルソン(Gavin Nelson)氏の「Dots, now on your Home Screen(dotsがホーム画面に)」という投稿を引用し、アプリの更新を呼びかけました。

OpenAI開発者向け公式アカウント(@OpenAIDevs)がリポストした@dkundel氏の投稿によると、iPhone向けにdotsのウィジェットと、本体側面の「アクションボタン」への対応が提供されました。ホーム画面からワンタップで自分のdotを呼び出したり、ボタンを押すだけで話しかけたりできるわけです。スマホのショートカット機能を組み合わせて、カメラボタンからdotを呼び出す工夫も紹介されています。Android版への対応については触れられていません。

公式の紹介動画

同じ日、OpenAIの公式YouTubeチャンネルと公式Xでは、dotsの使い方を紹介する約2分半の動画「Put your dot on call」が公開されました。OpenAIのエンジニアが深夜3時の障害対応を自分のdotに調べさせ、dotが始めたCodexの作業をスマホのChatGPTアプリから指示しながら進めた、という実例です。

12日間の流れ——2日続けて改善の日に

12日目までを振り返ると、改善の日が9回(1日目の高速化、2日目の4連発、3日目のGPT-6とIntelligent UI、4日目の即時の指示反映、5日目の次の一言の先読み、7日目の作業机の拡大、9日目の保存容量の削減、11日目の満席エラーの削減、12日目の実質的な利用量の増加)、全員向けリセットが4回(2日目、6日目、8日目、10日目。2日目は改善とリセットの両方)です。

6日目から10日目までは改善とリセットがおおむね交互に来ていましたが、11日目と12日目は2日続けて改善の日になりました。11日目の「止まらずに使える」に続き、12日目は「同じ枠で多く使える」と、毎日の使い心地に直結する改善が続いています。

ビジネス利用者にとっての意味

12日目の内容を仕事に生かすなら、次の点を押さえておくとよさそうです。

  • 利用枠の減り方が以前よりゆるやかに感じられるかもしれない。ただし増え方の数字は示されていないので、上限ぎりぎりの使い方をしている場合は、しばらく実際の残量を見ながら判断する
  • 同じ案件はなるべく同じ会話や作業の流れの中で続けると、キャッシュの恩恵を受けやすいと考えられる。関係のない話題は別の会話に分けておくと、AIが読む資料も整理される
  • Proプランなら、GPT-6 Astra Proで大きな調べものや資料づくりを複数のエージェントに分担させる使い方を試す価値がある。終わった作業は必ず開いて、人が中身を確認する
  • dotsを使っているなら、ChatGPTアプリを更新してホーム画面にウィジェットを置いておくと、思いついたときにすぐ仕事を頼める

まとめ

Codexの「28日間、毎日改善かフルリセット」宣言の12日目は、日本時間10月17日午前8時55分ごろに発表されました。補助役のAIどうしで文脈を使い回し、キャッシュを長く保ち、仕事の振り分けを工夫することで、CodexとChatGPT Workの実質的に使える量を増やす改善です。AIの“読み直し”のムダを減らすという地味ながら効き目のある工夫で、設定を変えなくても恩恵を受けられます。あわせて、複数のエージェントが手分けできるようになったGPT-6 Astra Proの強化と、iPhoneのホーム画面から呼び出せるようになったdotsも紹介されました。どれだけ増えたかの数字は示されていないため、実際の使い心地を見ながら活用していくのがよさそうです。13日目以降も引き続き追いかけます。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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