「Gemini 4 Argon」が一般提供開始——満を持して登場したGoogleの最上位AI、料金・使い方・活用法

コラム

Googleの最上位AIモデル「Gemini 4 Argon(ジェミニ・フォー・アルゴン)」が、日本時間2026年10月14日(水)午前1時ごろ、世界中で一般提供を開始しました。

9月30日の発表時点では、サイバー防御の専門家など限られた人だけが使える状態でした。約2週間を経て、開発者や企業、そして有料プランの一般ユーザーにも門戸が開かれた形です。

この記事では、発表時からの変化、できること、料金、日本からの使い方、そしてビジネスでの活かし方を、専門知識がなくても分かるように整理します。

公式 Xで公開された紹介動画

Google DeepMindの公式Xアカウントが、一般提供開始にあわせて公開した動画付きの投稿です(日本時間10月14日 午前1時05分)。

Gemini 4 Argonとは?「難しい仕事を最後までやり抜く」AI

Gemini 4 Argonは、Googleが「最先端(フロンティア)モデル」と位置づける新しいAIです。得意分野として挙げられているのは、プログラミング、金融、法務、サイバーセキュリティ、科学研究など、手順が多く、深く考える必要がある仕事です。

たとえるなら、質問にすぐ答える「物知りな相談相手」というより、大きな案件を預けると段取りを組み、途中経過を報告しながら最後まで仕上げてくれる「粘り強いデジタル部下」に近い存在です。

Googleは、Argonが以前のGeminiより回りくどい言い方を減らし、同じことを繰り返さず、決まり文句も避けて、より率直に答えるようになったと説明しています。長い作業では進み具合をこまめに伝えてくれるとのことです。

9月30日の発表については、当サイトの「Google、新AI『Gemini 4 Argon』を発表——まず信頼できるサイバー防御の現場から」でも紹介しています。

発表から一般提供で何が変わったのか

最も大きな変化は「使える人の範囲」です。発表時は、Googleが選んだサイバー防御の専門家(Fairwindプログラム参加者)と一部のテスターに限られていました。今回からは次のように広がりました。

対象9月30日の発表時10月14日(日本時間)以降
一般ユーザー利用不可Google AI Pro / Ultraの加入者がGeminiアプリと検索のAIモードで利用可能
開発者利用不可Gemini APIの有料枠、Google AI Studio、Android Studioで利用可能
企業利用不可Gemini for business、API、Google Antigravityで利用可能
サイバー防御の専門家初期の参加者のみFairwindプログラムを数百の組織に追加拡大

あわせて、Geminiアプリの機能も強化されました。チャット画面から「タスク」に切り替えると、パソコンの前にいない間もGeminiが作業を進めてくれます。また、Instacart、OpenTable、Adobe、Shopifyなど40以上のアプリと連携できるようになったとされています(いずれも海外サービスで、日本での対応状況は未確認です)。macOS版Geminiアプリには、コーディング用の「Google Antigravity」の画面も組み込まれました。

できることと公表された性能

Argonの特徴のひとつは、一度に出力できる量の大きさです。発表時の説明によると、出力の上限は従来の6万4千トークンから100万トークンに拡大しました。トークンはAIが文章を数える単位で、ざっくり言えば「一度に書ける報告書の厚み」が大幅に増えたイメージです。一般提供版のGemini APIでは「入力と出力を合わせて100万トークン」とされています。

以下の数値はいずれもGoogleが自社で公表したものです。第三者による同条件での検証ではない点に注意してください。

評価テスト測っていることGoogle公表値
DeepSWE v1.1長期間にわたる実務的なソフトウェア開発77.9%
AutomationBench(Zapier)業務の自動化を最後までやり切れるか51.3%(1位とされる)
LVBench長い動画の理解91.7%
CWE-bench v1セキュリティの弱点の修正68%(1位タイとされる)
ERQA立体空間・物理的な問題の理解87%
Vals Index金融・法務・税務・コーディングなど経済的に重要な仕事1位とされる(スコアは記載なし)

Google社内の事例としては、Antigravity上のArgonによって、AIによるコード提出が35%以上増え、やり直し(ロールバック)が約3分の1減ったと紹介されています。安全面では、外部サイトなどに隠された悪意ある指示に乗っ取られにくくする対策を強化し、取り返しのつかない操作の前には人の確認を求めるよう訓練したと説明しています。

公式の紹介動画

GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイ氏の公式YouTubeチャンネルで、一般提供開始にあわせて公開された動画です(日本時間10月14日 午前1時24分公開)。

料金と開発者向け情報

Gemini API(Googleのサービスを自社システムから呼び出す窓口)でのモデル名は「gemini-4-argon」です。無料枠では使えず、有料枠のみの提供です。料金は100万トークンあたりで次のとおりです。

項目2026年11月30日まで(導入価格)2026年12月1日から
入力2.00ドル4.00ドル
出力(考える過程を含む)10.00ドル20.00ドル
キャッシュ済み入力0.10ドル0.20ドル
バッチ処理の入力1.00ドル2.00ドル

キャッシュとは、同じ資料を何度も読ませるときに「前に読んだ分」を割安にする仕組みです。社内マニュアルを毎回参照させるような使い方では、この割引が効いてきます。ほかのAIとの料金の違いは、「LLM API料金比較」の記事も参考にしてください。

主要なAIのAPI料金(100万トークンあたり、標準料金)と並べると、Argonの位置づけは次のとおりです。

モデル提供元入力出力備考
Gemini 4 ArgonGoogle2.00ドル(12月1日から4.00ドル)10.00ドル(12月1日から20.00ドル)11月30日までは導入価格。キャッシュ済み入力0.10ドル(12月から0.20ドル)。無料枠なし
GPT-6.1 SolOpenAI2.00ドル10.00ドル短いコンテキストの標準料金。キャッシュ済み入力0.10ドル
GPT-6 AstraOpenAI10.00ドル50.00ドルOpenAIの最上位。キャッシュ済み入力1.00ドル
Claude Opus 5.5Anthropic4.00ドル20.00ドルキャッシュ読み取り0.20ドル
Claude Sonnet 5.5Anthropic2.00ドル10.00ドルキャッシュ読み取り0.10ドル
Grok 4.7xAI2.00ドル6.00ドル20万トークン未満の場合。20万以上は4.00ドル/12.00ドル。キャッシュ済み入力0.50ドル
Muse WonderMeta4.00ドル20.00ドル10月12日公開。キャッシュ済み入力0.20ドル
DeepSeek V4 ProDeepSeek0.66〜1.32ドル1.98〜3.96ドル時間帯で変動(安い方がオフピーク、高い方がピーク)

いまの導入価格(入力2ドル・出力10ドル)は、OpenAIのGPT-6.1 SolやAnthropicのClaude Sonnet 5.5と同じ水準で、最上位クラスとしては割安です。ただし12月1日からは入力4ドル・出力20ドルと2倍になり、Claude Opus 5.5やMetaのMuse Wonderと同じ価格帯に並びます。出力の安さではGrok 4.7、全体の安さではDeepSeekが目立つ一方、GPT-6 Astraはさらに高い最上位枠です。長く使う予定なら、12月以降の料金で見積もっておきましょう。

※料金はすべて米ドル、100万トークンあたりです(2026年10月14日 日本時間に各社の公式料金ページで確認)。Batchなどの割引や長い資料向けの割増は含めていません。最新の料金は各社の公式ページでご確認ください。

日本からの使い方

Googleは今回の提供を「グローバル」としており、日本を除外するような記載は見当たりません。一般のビジネスパーソンにとって一番手軽なのは、Google AI ProまたはUltraに加入したうえでGeminiアプリを開き、モデル選択でArgonを選ぶ方法です。

一方で、公式情報は英語が中心で、日本語の品質や、日本のGeminiアプリでの表示名・切り替え方法についての具体的な説明は確認できませんでした。順次展開のため、表示されるまで時間がかかる場合もあります。開発者向けのGoogle AI Studioでは有料のAPIキーかUltra加入が必要で、料金ページには「Google AI Proプランでは利用できない」との注記もあるため、目的に応じて窓口を選ぶのがよいでしょう。

ビジネスでの活かし方

Argonが真価を発揮するのは、「量が多く、手順が多く、正確さが求められる」仕事です。たとえば、散らばった資料フォルダから提案書を組み立てる、長い契約書や特許文書から必要な条項を抜き出す、複数年分の売上データを比較して報告書にまとめる、といった作業が向いています。Googleの紹介でも、ばらばらの資料から顧客向けの提案資料を作り、メール送信や今後の依頼対応まで自動化する例が示されています。

ただし、丸投げは禁物です。まず「この資料から論点を3つ抜き出して」のように小さく頼み、結果を人が確かめてから範囲を広げるのが安全です。特に法務や金融の判断、社外へのメール送信などは、最後に必ず人の目を通しましょう。また導入価格は11月30日までなので、APIで本格的に使う場合は12月以降の料金で費用を見積もっておくと安心です。

まとめ

Gemini 4 Argonは、慎重な段階的公開を経て、ようやく多くの人の手に届きました。強みは、難しく長い仕事を最後まで粘り強く進める力です。性能の数値はGoogle自身の発表である点を踏まえつつ、まずはGeminiアプリで日々の資料作成や分析を任せてみて、手応えを確かめるところから始めるのがおすすめです。開発者や企業は、導入価格の期間中に試算と検証を進めておくとよいでしょう。

参考リンク

この記事を書いた人
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毎日20時間以上AIの実践・研究に没頭するITエンジニア。20年以上にわたり、オンラインゲームや生活関連など幅広いジャンルのオウンドメディアで執筆・編集長を歴任。現在は上場企業グループの代表取締役を務め、複数の事業者団体で理事を兼務する経営者でもある。テクノロジーの最前線に身を置きつつ、地域の商店街や神社の運営にも深く携わるなど、地域活性化にも尽力。圧倒的な現場経験とITの専門知識、経営者の視点から、信頼性の高い有益な情報を発信している。
Olive株式会社 代表取締役

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