OpenAIがChatGPTのMac用デスクトップアプリ向けに提供している「Computer History」は、選んだアプリやウェブサイトでの作業をタイムラインと記憶に変え、ChatGPTやCodexが参照できるようにする機能です。画面の録画ではなく操作の出来事を使う点や、最初はオフのままな点が特徴です。
本稿はOpenAIの公式ドキュメントと公式紹介動画をもとに、何ができるか、どう始めるか、どこに注意するかをビジネスパーソン向けに整理します。
公式の紹介動画
どんな機能か
Computer Historyは、ChatGPTのMac用デスクトップアプリに用意された、自分でオンにする機能です。選んだアプリやウェブサイトでの作業を、タイムラインと「記憶(メモリーズ)」にまとめ、ChatGPTやコーディング支援のCodexが後から参照できるようにします。
たとえば「休憩前に何をしていた?」「今朝見ていた提案書はどこ?」と聞けば、開いていたアプリや書類の流れを手がかりに答えやすくなります。繰り返しの手順が見つかれば、スキルや自動化の提案にもつながります。いわば、仕事机のメモをAIが整理してくれるイメージです。
対象はChatGPTのPro、Business、Enterpriseです。BusinessやEnterpriseでは、管理者の許可があってから各メンバーが自分でオンにします。Memories(記憶機能)も必要で、APIキーやAmazon Bedrock単体では使えません。公式ドキュメントでは、対応地域にEEA・スイス・英国も含むとされています。
どう動き、どう使うか
仕組みのポイントは、「画面の写真」ではなく「操作の出来事」を記録することです。クリック、入力、ショートカット、アプリ切り替えなど、macOSのアクセシビリティ経由で取れる情報をもとに要約します。スクリーンショットや画面録画、マイク・システム音声は履歴に含めず、プライベートブラウズも対象外です。以前の研究プレビューChronicleの置き換えですが、作り直された仕組みだと公式は説明しています。
オンにする手順は、MacのChatGPTアプリで設定 → Integrations → Computer history → Turn on、必要ならMemoriesを有効化し、対象のアプリやサイトを選ぶ流れです。画面録画の許可は不要とされています。メニューバーから一時停止や再開もできます。
実務では、資料作成や社内チャット、ブラウザ作業の続きを短く再開したいときに役立ちます。一方で、会話中や相手の同意がない場面、銀行・医療など機微なアプリは除外や一時停止を検討する、というのが公式の注意でもあります。
プライバシーと注意点
プライバシー面では、操作イベントはMac上に一時保存され、最大48時間で処理後に削除される一方、生成された要約の記憶ファイルは削除するまで手元に残ります。保存場所の一例は「~/.codex/memories/extensions/skysight/」で、平文のMarkdownです。公式も、暗号化されておらず、同じMacユーザーで動く他のプログラムから読める可能性があると明記しています。
OpenAI側では、要約のために一時ファイルをサーバーで処理しますが、処理後は原則保持せず、学習にも使わないとしています。後のチャットで記憶を使うとき、その内容が文脈に入り、アカウントのデータ設定によってはモデル改善に使われる場合がある点も確認しておきたいところです。
また、アプリやサイト上の悪意ある指示をAIが拾う「プロンプトインジェクション」のリスクが増える、とも公式は警告しています。タイムラインから個別削除や、直近10分・1時間・1日・すべてを消せるので、試す前に「何を記録し、どこに残るか」を一度読んでからオンにするのが安全です。
まとめ
Computer Historyは、Mac上の作業の続きをChatGPTやCodexに渡しやすくする任意機能です。便利さの裏で、記録範囲・一時停止・ローカルの平文ファイル・会社の管理者設定を自分で握る必要があります。まずは銀行やメールなど機微なアプリを除外し、短い試用から始めるのがおすすめです。公式の紹介動画とドキュメントを確認したうえで判断してください。
参考リンク
- OpenAI:Computer History
- OpenAI YouTube:Computer History in ChatGPT
- ChatGPT Learn:Computer History

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